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愛弟子、無限一刀流、白帯

──お前の相手はわたし、覚悟して



突然俺の横から現れたルシアは刀で棍棒を弾き返し、不意打ち気味に魔力をのせた蹴りをお見舞した。


トロルキングはノックバックの反動でのけぞりバランスを崩して、仰向けに転んだ。



その、トロルキングの太った腹にルシアはすかさず飛び乗り、刀で首を狙う。



だが、相手はトロル上位種。


そこまで甘くはない。

棍棒を持たない方の空の手で、寝ながらルシアを横合いから掌底打ちで吹き飛ばした。



そのまま十メートル以上飛ばされて、大きな木の幹にぶつかり静止する。



咄嗟に、防御の姿勢をとったみたいで、無事のようだが、苦しそうな息をこぼした。


「はぁ、むかつく、トロルのくせに」



おお、珍しくルシアが怒っている。


いつも簡単に倒しているトロルに一発かまされたのが気に食わなかったのか、目が本気だ。


でも、こいつら、そこそこ強いし仕方ないと思うけどね。

普通の十三歳の女の子だったら、いまの一撃でプチっといってるよ。



すると、激怒するルシアの前に、近くにいたトロルジェネラルが追い討ちをかけようと走りだした。



いま残っているトロルは、ジェネラル、キング、エンペラーの三体だ。俺はよほど危なくならない限り手を貸すつもりはないので、コイツらをルシアは一人で相手しなければいけない。


人数的には圧倒的に不利だけど、このくらい乗り越えて貰わないと無限一刀流は名乗れないぜ。



「ジェネラルに興味はない。お前は弱すぎる」



ルシアが振り下ろされた棍棒に沿うように、刀を滑らした。

そして一言・・・・・・



「無限流、流水・天のゆらめき」



ルシアが技を繰り出した瞬間、バチンと派手な音をたててジェネラルの棍棒が手から離れて、勢いよく上空に跳ねあがった。


武器を失い、驚いた表情で無防備な胴体を晒してしまうジェネラル。そこに、容赦なくルシアの刃が突き刺さり、鮮血が舞った。



そのままトロルジェネラルはグオオと悲痛な叫び声をあげ、倒れて動かなくなった。




「ルシアぁ、いまのは良かったよぉ、そのまま頑張って!」



「ありがとう、ルーク」



俺は幼馴染みの愛弟子に、応援の言葉をかける。



いまの技は練習どおり綺麗にきまっていた。



無限流、流水・天のゆらめき


これは、ジョーカーが使っていた合気剣術の技を俺がアレンジして教えたものだ。


流水は防御力に優れたいい技だったが、反面、受け流してからの攻撃のため、二の太刀が遅れるという弱点があった。


そこを改善したのが、無限流、流水・天のゆらめきだ。


川に流れる水のように、魔力を刀に注ぎこんで、刀身の周りに魔力の強い流れをつくりだす。


それを相手の武器にギリギリ当たらない数ミリの距離で、這うように擦り付けてやると、流れの反発により相手の武器を弾き返す仕組みだ。


緻密な魔力コントロールと、確かな剣術の腕前があって、はじめてなせる技。


成功すれば相手の姿勢は崩れ、そのうえこちらの攻撃は阻害されず、そののまま敵をぶった切ることができる。


一の太刀に二の力を乗せた、複合技だ。



本来、無限一刀流の技は『無限・一刀』ただひとつのみ。


いや、俺はいまもそれしか、認めていない。



ただ、ルシアはなにを勘違いしたのか、俺とジョーカーの戦いを覗いて、無限一刀流とは、相手がしてきた技を瞬時に真似してやり返すコピー剣術だと思ってしまっている。



とんだ風評被害だ。


あれは、技術の大切を教えてこようとするジョーカーへ、俺からのアンサー的な意味でやっていただけなのに。


無限一刀流のテーマはステータスごり押しの、努力も技術も必要ない圧倒的な一撃だ。


それなのにルシアのやろうとしていることは、見たことも無い技をその場でコピーするという超技巧派剣術。


完全に矛盾している。 


魔眼もないのに、よくやるよ、と思う。


俺の片目を移植してやろうかと考えたけど、流石に母上に怒られそうだからやめた。



そんな感じで、無理を通そうとするルシアの剣の技術は日に日に向上していき、いまでは中々の強者になっている。


あと数年もしたらあのジョーカーを抜くかもしれない。


そうなれば、s級冒険者クラスということになるから、人類でも最強クラスの部類に入るだろう。


師匠として嬉しい限りだ。




俺がルシアの観察を続けといると、ついに残りのトロルキングとトロルエンペラーが動きはじめた。



俺は岩に腰かけて、ゆるりとその戦いを見守ることにした。


カクヨムにて、プロットと設定を変えた修正版を1話から投稿しています。なろうには区切りの良いところまで完成したら続きをあげようとおもっています。

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