モンスターを倒してザックッザックッ
──町から離れた大森林の奥深く
俺とルシアは背の高い木の上から、モンスターの群れを見下ろしている。
人形の巨大なモンスター、トロルの群れを見つけた。
「ルシア、準備はいいか」
「ええ」
お互いに腰に指している刀を抜く。
俺が持っているのは刀は、ジョーカーから譲り受けた脇差しだ。
体が成長したので、使っている。
それでもまだサイズ的に合わないから、不恰好にみえてしまうだろうけど。
ルシアの刀は、冒険者活動の報酬で自前に用意したものだ。
俺とは違い、ルシアはお金を家にいれてないので、余裕があるみたい。
羨ましいという気持ちもあるが、俺にとって一番大切なのは家族の食事だ。仕方あるまい。
父上の許しを得て以来、俺達はこうしてモンスターを刈りまくっている。
おかげで、我が家の食卓は、以前よりも遥かに進化している。
柔らかい白いパン、ハチミツ、チーズ、肉料理なんでもござれだ。
少しは貴族らしい生活が出来ている。
そして、今日もモンスターどもには、ベルモント家の糧となってもらう。
奴らは人類の敵。
食うか食われるの関係だ。遠慮はいらない。
しかも、いつもと違い大物がいっぱいいる。
普通のトロルと違い、数体ほど明らかに上位種と思われるのが混じっている。
身長も倍以上ちがう。
トロルナイト、トロルジェネラル、トロルキング、トロルエンペラー、よりどりみどり。
まるで巨人だな。
「雑魚は俺に任せろ、大物はルシアに譲ってやる」
「うん」
「分かっていると思うが、無限一刀流に敗北は許されない。油断するなよ」
「まかせて、あの程度相手にもならない」
ふっ、ルシアめ成長したな。
俺の厳しい訓練に耐えたことだけはある。
いい心構えだ。
けど、まだルシアには、トロルキングやエンペラーは楽勝とまではいかないだろう。
どう戦うか楽しみだ。
「一番槍が俺が貰おう」
バンッと木を蹴り、上空からトロルを狙う。
まだこちらの存在に気がついてない。
奇襲成功だ。
「お前ら全員駆逐してやる」
落下スピードを利用して刀を振るうと、トロルの首の裏側からスパンと切れて、地面に落ちる。
「まず、一匹」
着地と同時に地面を踏み抜いて、一歩で加速し飛び上がり、近くにいたトロルの首を刀で撫でる。
「ニ、いや三匹か」
繰り出した斬撃が飛び、奥にいたトロルも両断した。
急に仲間が切り殺されて事態の異変に気がついたトロルどもが騒ぎはじめた。
だが、もう遅い。
ここにいる全てのモンスターは既に、漆黒の刃の射程圏内だ。
「静にしろ、すぐに終わらせてやる」
俺はブタ伯爵を追い返した時に手に入れたスキル、『覇気・レベル1』を発動させた。
俺を中心に波打つ力の波動が周囲に波紋していく。
すると、怯えたトロル達はその場で震えあがった。
ジェネラル以上の上位種達は平気そうだが、モブトロル達は足がすくんで動けない。
弱い相手ほど、このスキルは効果を発揮する。
「戦場においてとるべき行動は二つ、逃げるか、武器を手に戦うかだ、死ね」
畑のカカシとなったトロル達の首を狙って、ジョーカーより譲り受けた漆黒の刀から斬擊を飛ばしてやると、瞬く間に静かな大森林に阿鼻叫喚の呻き声が伝播した。
俺はその悲鳴を無視して、頭の中で計算をする。
「こいつ合計で幾らくらいになるのかな」
珍しい個体が多いから、色良い報酬が期待できるかもしれない。
これは今晩の夕飯は豪華になるぞ。
ふふふ、と笑っていると、生き残っていたトロルキングが怒りの形相で俺に棍棒を振り下ろしてきた。
だが、俺はあえて無視をする。
避けもしないし、刀も振らない。
なぜなら、コイツの相手は俺じゃないから。
身の丈十倍はありそうな棍棒を、間に割って入ったルシアが刀で弾き返した。
「お前の相手はわたし、覚悟して」
──ルシアがトロルに襲いかかる




