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マブダチ

 王都についたのは翌日の夜中だった。


その日は宿に泊まり、旅の疲れを癒した。



──翌朝



「ルーク、約束の時間には遅れるなよ?」


「はい、ではまた後で会いましょう」





父上に別れをつげて、俺はルシアと一緒に王都にある市場に向かう。


王様と謁見する、貴族の子供を集めたパーティーは午後過ぎだったから、それまではルシアと一緒に王都観光をすることにしたのだ。


父上は用事があるそうなので、集合時間をきめてそれまで自由時間。


ちなみに、ルシアが一緒に王都までついてきたのは、社会見学として連れてきただけだから、彼女に特に用事はない。



「父上から貰ったおこづかいで買えるものあるかな?」



心もとない袋を持ち上げて重さを確かめる。


チャリン、チャリンと硬貨のすれる音がなる。



「お金が足りなかったら私が買ってあげる」



そういってルシアは、俺のよりもだいぶ重そうな袋を見せてきた。




「・・・・・・仮にも貴族の俺よりもお金持ちってどういうこと?」





「私は冒険者の時に貯めたお金、使わないでとってあるから」





「ふ、ふーん」



俺の稼ぎは、全て家族の食費に使われてるから手元にない。


けど、いくらなんでもルシアに買ってもらうのはナシだ。幼馴染みの女の子で、自分の弟子にあたる人から、施しをうけていては男がすたる。





しばらく二人で歩いていると、目的の市場についた。



多くの人が賑わい、露店が所狭しに並んでいる。地元ではまずみれない光景に興奮してしまう。



「ルシア、はやくいくよ!」



「うん」



俺はルシアの手をとり、色んな店を流し見していく。

出来れば、フブキちゃんにあげるお土産を買っていきたい。



可愛い、髪飾りなんかいいだろう。きっと喜んでくれる。




すると、俺は一軒の店が視界に入り、目が釘付けになった。


そこは呉服屋さんで、沢山の服が飾られている。


中でも、俺が目を奪われたのは、一番見えやすい場所におかれている黒いマントッ!




シンプルなデザインだが、とても良い素材を使われているのが一目でわかる。




ほ、欲しい。



体が成長して大きくなったせいで、タオルケットでは、もう漆黒のマントとは呼べなくなっていたところだ。


ゴクリと唾をのんで、袋の小銭と、マントの値札を見比べる。





・・・・・・・全く同じ額だった。





くっ、ダメだ、これを買ったらフブキちゃんにプレゼントをあげられない。


それに、母上にも何か贈りたい。



ここは諦めるしかないッ



──けど




「「かっこいいな」」



「「えっ?」」




同時に言葉が聞こえて、俺は横を向いた。


そこには、同い年くらいの中性的な美形少年が驚いた表情でいた。


とても可愛らしい顔をしている。


短く切り揃えられた白い髪と、着ている服装から、男だとわかるが、スカートとかはいていたら、パッと見では分からないかもしれない。



昔いた、あの変態ロリコン冒険者なら間違って手をだしてしまいそうだ。




「き、君もこれが気に入ったのかい?」



と、少年がとてもかわいらしい表情で、目をキラキラさせて聞いてくる。


ま、まぶしいっ!



なんて純粋な目をしているのだ。


こんな純粋な瞳を見るのは、俺が生まれてはじめて鏡を見た時以来だ。



「君もマントを気に入ったのかい? 趣味が合うね」




「本当だよッ、嬉しいな。僕の周りではこういった服をかっこいいと言ってくれる人がいなくて寂しかったんだ!」



少年は顔を赤らめて、飾られていたマントを手に取ると、俺に渡してくる。





「こ、これは君に譲るよ、是非、買ってくれ!」





「あ、いや・・・・・」





「どうしたんだい、欲しかったんじゃなかったのか?」




そりゃ、かっこいいマントだし、欲しいのは本当だけど、お金がない。



少年の清らかな優しさは嬉しいけど、ここは気持ちだけうけとっておこう。





「・・・・・・遠慮しとくよ。実はあまりお金がなくてさ」




俺は震える手で、持っていたマントを返した。


凄く・・・・・凄く欲しいけど、間違いなく、一番大切なのは、フブキちゃんと母上へのプレゼントだ。



「ああ、そういうことかい。なら僕に任せてくれ。君にこれを買ってあげるよ!」




「え?」




疑問を口にする間もなく、少年は店の人にポンとお金を払うと、買ったばかりのマントを手渡してくる。



「ど、どうして?」



「言っただろ、同じ趣味の人を見つけて嬉しかったんだ」




「それだけで?」




そんな理由でプレゼントしてくれるなんて、よこしまな気持ちがあるんじゃないかと疑ってしまう。



「もちろんタダとは言わない。君さえ良ければどうだろう、僕友達になってくれないか?」



少年が腕を差し出す。


その手はとても綺麗で、爪も手入れされていて、まるで女の子のようだった。



俺はその手をみて考える。



うーん、つまり、金で俺と友達になりたいと?




そういうこと?




はっ、なめてもらっちゃ困るぜ



俺は人と人の絆ってのを大事にしてるんだ。



そんな話に耳を傾けるとでも?



ふん、どうやら俺の見込み違いだったらしい。



純粋な少年だとおもっていたのに、金で心を汚してしまう奴だったなんて。


本当に残念だよ。


はぁ、とため息をついて俺は少年の手を・・・・・・・











──固く、固く、握ったッ!






だって、欲しいんだもん!



このマント、かッこッいいッ!







「ふふ、お前とは今後もうまくやれそうだ。俺たちはマブダチ、そうだろ?」





「ああ、僕も君とは運命みたいなものを感じているよ。僕の名前はリーシェン、君の名は?」






「ルーク・ベルモントだ。よろしく」





ふっ、と俺たちは互いにを見つめあい、友情のシェイクハンドを交わす。





「僕はこれから用事があるからいくけど、ルーク、君とはまたすぐに会える気がするよ。その時はお互いの心を赤裸々に語り合おうじゃないか」




「ああ、俺たちはマブダチ、また必ず、どこかで会うだろう」



「もちろんさ、君は、僕のはじめてのマブダチだからね」




そして、リーシェンは、市場の人並みをかきわけて消えていった。




ふぅー、体の線も細いし、よわっちそうな奴だったけど、確かな心を持っている良い少年だったぜ。



「なんか、良い奴だったな。ルシアもそうおもうだろって痛てて」



ルシアがぎゅうと俺の手を強く握ってきた。


いたい、いたい、爪が立ってるよルシアぁ!


なんでぇ、 どうして!?



なんか顔も無表情で怖いぞ?



「ル、ルシアどうしたの?」




「なにもない。ただあいつは強敵の気がする」





謎の言葉をはいて、ルシアはリーシェンの去っていった方向を睨むのだった。





────そして、貴族のパーティーがはじまる




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