11 子供の皮を被ったばけもの
※ルーク視点ではありません
―――とんだ化け物がいたもんだぜ
幼い子供の攻撃を受け止めた男、マルティネスはそう思った。
突発的に、ステーキナイフを鞘で受け止めたマルティネスの手には、重い攻撃の衝撃が確かに残っていた。
(こりゃあ斬撃の重さだけじゃないな)
その予想どおり、ルークはいまの一撃に、膨大な魔力をのせていた。
可視化できるまで高められた濃密な魔力。一瞬だけだが、黒い光がナイフを包んでいたのをマルティネスは見逃さなかった。
(気まぐれで、こんな辺境まできちまったが、これは正解だったな。まさかこれほどの傑物に出会えるとは運がいい)
マルティネスの目には、その子供は三歳程度にしか見えない。いや、その舌ったらずな喋り方からしてもそうなのだろう。
この子供は間違いなく時代の寵児としてなるべく生まれてきたのだろうとマルティネスは確信する。
「坊や、冒険者になりたいのか?」
「うん、るちあと、ぱーてぃー組んでモンスターを倒す」
「そうか、なら俺からもお願いしてやろう。子供だけでは登録は大変だからな」
「お、本当か、いい奴だなおっちゃん」
「ははは、次世代を担う子供の役に立つのが大人の役目だよ」
そう言ってマルティネスは、ギルドの受付嬢にお願いをする。
「規定違反ではないのだから、許可をしてやったらどうだろうか」
「で、ですが・・子供だけでモンスター討伐は・・・」
「ギルドには討伐以外にも、薬草採取や、街の掃除など様々な依頼があるだろ?」
「でもやはり幼すぎませんか?」
「安心しろ、このぐらいの子供は、背伸びして勇猛な冒険者の称号が欲しがるものさ。実際にモンスターとは戦いはしない。なっ、そうだろ?」
マルティネスはここで頷いとけ、という意味でルークにウインクを飛ばす。
だが、ルークには伝わらなかったようで、ムッして口を開こうとした時、後ろからルシアに口を抑えられて喋れなくなった。
代わりにルシアが答える。
「そう、私達は冒険者になりたいだけ。べつにモンスター討伐とか興味ない」
「んっーー、んーー!?」
「だから登録だけお願いします」
ルークの頭を抑えてルシアは一緒に頭をさげる。
「はあ、まあそういうことなら・・」
渋々といった様子で、ついに折れた受付嬢が、諦めて登録を認める。
字の書けない二人にのために、受付嬢が代筆で書類に記入しながら冒険者ギルドの決まりごとを説明していく。
マルティネスは黙ってその光景を見ながら考える。
(こいつなら、俺の願いもかなうかもしれねぇ。どうにかして近くに置いときたいな)
やがて、全ての登録を終えたルーク達は上機嫌にギルドをでていった。
マルティネスも後についていき、そして二人に提案する。
「君達、もしよかったら俺が修行をつけてあげようと思うがどうだろうか?」
「えーおっちゃんが? んー、おれは最強だしべつにいいかな」
「ははは、たしかにそうかもしれないが、お嬢ちゃんはまだ強くないだろ? それに子供だけでは街の外で活動しずらいから私がいた方が便利だぞ?」
ルークはルシアにどうしよと相談する。
「わたしは別にどっちでもいい」
「そっかーー、じゃあ、おっちゃんお願いするよ」
「ああ、任せてくれ。私が二人を強くしてやろう」
こうして、二人は、マルティネスに教わりながらモンスター狩りを始めるのだった・・・・・




