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64話 遊び場での邂逅


此方もお久しぶりとなりすいません!


 

 謎の青銀のモヤモヤを追って、やって来たのはレオンハルト団長が城内に沢山作った内の一つである遊び場。暗くて何も見えない空間にフィロメーノが魔術で灯りを作ってくれた。


 鮮明になった周囲の光景に「ひっ」と悲鳴が短く漏れた。



「な……なにコレ」

「やれやれ、悪趣味だね」



 石の床に転がる干からびた裸の男性達。普通は顔を真っ赤にしても良いのに皆水分を吸い付くされた様に干からびて、元の容姿が分からない程に変異している。フィロメーノが足先で倒れている男性の腹を動かし仰向けにした。


 生気はなく、虚ろな眼が天井を見上げている。



「ご、拷問されてこうなったの?」



 此処はレオンハルト団長の遊び場。ゲームでは、アシェリー愛憎ルートで出た。しかもバッドエンド。愛憎ルートのアシェリーは、豹変してしまってもアフィーリアが好きだった。アフィーリアの代わりをアイリーンにさせている内に、アイリーンに危害を及ぼすアフィーリアをこれ以上放っておくのも危険だと勝手に判断したユーリが殺してしまう。


 アシェリーとアイリーンが駆け付けた瞬間までは生きていたアフィーリアは、ほんの一瞬正気に戻りアイリーンに今までの行いを詫びて、せめてもの罪滅ぼしとして最後の力を振り絞ってアイリーンの中から自分という存在を消した。自分のせいで傷付けた分、自分を消す事でアイリーンに幸せになってもらうために。アシェリーには最後、笑顔で「好きだったよ」と言い残し息絶えた。


 ……そこから先はエグいの一言に尽きた。未成年のくせに姉のパソコンを使って十八禁版をプレイした友人曰く、アフィーリアが死んで狂ったアシェリーが魔王が判断を下す前に勝手にアフィーリアを殺したユーリを並大抵では逃れられない【無情の檻(ハートレス・プリズン)】という、重罪人を閉じ込める高等魔術の檻に閉じ込めた。檻の中で時間は進まない。時間が進まないという事は空腹も眠気も起きない。ずっと、目を開けたまま。アシェリーがしたのは、まず死んだアフィーリアの身体の傷を癒して綺麗にし【無情の檻(ハートレス・プリズン)】よりも上回る高等魔術で遺体を保護した。それによってアフィーリアの遺体は腐敗は進まず、生前と変わらない姿を保つ。


 その次は流石大人向けと実感した。アフィーリアの事を忘れ、何故自分が此処にいるか全く覚えていないアイリーンを凌辱した。アイリーンに好意を抱いていたユーリの目の前で。アシェリーに好意を抱いているアイリーンにとっては、第三者の目の前で犯され、淫魔の餌として永遠に側に置いてあげると宣言されて絶望と同時にアシェリーのモノになれた幸福が一度に押し寄せた。


 恥ずかしいながらも私も見てしまった。うん、あんたはよくプレイ出来たと感心した。ユーリは時間が進まない檻の中から、永遠に好きな女の子が他の男に犯される場面を見ないといけない。アシェリーは言う。アフィーリアを殺した罰だと。



「こおら」



 乙女ゲームのプレイ内容を思い出しているとフィロメーノにむにっと頬を摘ままれた。



「現実逃避をしない」

「こんな光景見て何も思うなって言う方が無理よ!」



 そう。私はフィロメーノの言った通り現実逃避をしていた。アシェリー愛憎ルートのバッドエンドを思い出す事で。全年齢版になると、目の前で犯されるのが激しいキスシーンに変わる。まあ恐らく、その後は犯されるのだろう。


 下を視界に入れたくなくてフィロメーノの顔を見た。



「皆死んでるの?」

「死んだも同然だね。精気を搾り取られてる。男の精気を吸うって淫魔じゃないんだから」

「拷問されたの?」

「さっきも聞いていたね。拷問目的ではないかもしれないけど、彼等にとったら拷問だったろうね。……終わりのない快楽も度が過ぎると苦痛にしかならない。この意味、分かる?」



 分かるか!私はまだ子供よ!アフィーリアになる前だって卒業待ちの高校生でした!


 ……でも、何故かな。


 フィロメーノの問いの答えを私は持っていた。


 答えは――イエス。


 呆然としていると魔界を統べる父様と同等の美貌が目前に迫った。吃驚して後ろに身体を引こうとするもフィロメーノに抱っこされている状態では無理だった。ちゅっと音を立てて鼻頭にキスをされた。



「ちっちゃくて可愛い」

「っ~~~!」



 父様から漂う色気は娘相手にしては大サービス過ぎるが、大好きな母様との間に出来た娘だから余計可愛く見えるのだろう。


 対して、フィロメーノが向けてきたのは異性に対して放つ色気だ。子供であり、経験のない私ではまともに対抗すら出来ない圧倒的色気。高位魔族の色気を侮るなかれー!



「フィ、フィロメーノは幼女に興味があるの?」

「失礼だな。僕は子供には興味ないよ。君だから興味があるのさ」



 フィロメーノは私自身知らない事を知っている。口を開こうとした私の唇に人差し指を当てた。



「ふふ、扱いやすい。アフィーリアにキスをしただけで簡単に姿を見せてくれた」

「え」



 私の後ろを見て楽しそうに笑う――否、嗤うフィロメーノに釣られて私も後ろを見た。先程見た青銀のモヤモヤが倒れている誰かの上をクルクル回っているかと思いきや、すぅ……その人の身体の中に入った。薄い布を一枚掛けられ誰か分からなかったその人はゆっくりと起き上がった。


 起きたその人の顔は忘れもしない……



「コ……コーデリア様……」



 半年前、ユーリをコーデリア様の暴力から庇った代償に私は意識を失っていた。魔王の娘を傷付けた罰としてドラメール公爵家はお取り潰し、コーデリア様は処刑された。表向きには。

 実際には、レオンハルト団長の遊び場にて生かされているとフィロメーノに聞かされていた。


 自慢の美しい青みがかった銀髪は泥に汚れてぼさぼさで、真っ白な肌も沢山の手形や鬱血した跡、中には縛られた跡だったりもある。



「ふふ……ふふふ……」



 不敵に笑うコーデリア様が怖くて私は一層強くフィロメーノに抱き付いた。



「嗚呼……!貴方は何度見ても美しいわ!愛しいわたくしのウアリウス様!」

「何時君のになったのかな」



 呆れ口調でコーデリア様の姿をした誰かと話す。指を鳴らして、魔術で自身の姿を綺麗にして、胸が大きく開いた大胆な黒いドレスを纏ったその人は「ふふ」と笑った。



「これからよ。この身体を捨ててその子に乗り移ったら貴方はわたくしのモノになってくれるでしょう?」

「ひっ……」



 百獣の王に睨まれた哀れな草食動物の気持ちが今なら分かる。睨まれただけで全身から体温が下がり、恐怖で強張る。フィロメーノにすがる様に強く抱き付くと応える様に抱き締めてくれた。



「悪いけどねリリス。アフィーリアは渡さないよ。君のせいでこの子は何度も死んでいるんだ」

「だあって、その子はウアリウス様の血を引き、更に膨大な魔力を持っているんですもの。わたくしが待ち望んでいた身体!わたくしが貴方に愛されるに相応しい器ですわ。さあウアリウス様。その子をわたくしに下さい。そして……」



 淡い紫水晶の瞳を細め、元々開いている胸元を更に開きフィロメーノを誘惑する。胸がポロリとなりそう……!



「……」

「わたくしと愛し合いましょう?」



 フィロメーノが気になって顔を見ると――一切の感情を消した、でも美しい銀瞳にはハッキリとした嫌悪が浮かんでいた。



「……何度言っても理解しないね、君は」



 父様以上に恐ろしい……地の底を這うような声。激昂してる訳じゃない。静かに紡いだ声に含まれた怒り。リリスと呼んだあの人以上の恐怖を感じた。



「アフィーリア」



 打って変わって、異性を虜にする微笑を私に向けたフィロメーノは額をコツンと合わせてきた。



「ちゃんと僕に引っ付いてて」

「う、うんっ。絶対離さないで」

「分かってるよ」



 改めてフィロメーノに抱っこをし直され、首に腕を回して意地でも離れるもんかと抱き付いた。フィロメーノは片手で私を抱っこしていない、空いているもう一方の腕を前方へ突き出した。



「《穿て》」



 途端、周囲は瞬く間に炎に包まれた。







読んで頂きありがとうございます!


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