遠い空を見る
てくてくてく
隠密の魔術を行使して魔王城を歩く白いタヌキが目指すのは、魔王夫妻の部屋。普段はそこで夜を共にするがアフィーリアが脱走し始めてからロゼが元の私室にアフィーリアを捕獲して寝ている為、ここ最近はシェリーだけが使用していた。普通に扉をすり抜けた白いタヌキことフィロメーノは、大きな寝台の上でシェリーを後ろから抱き締めネグリジェを脱がし始めているロゼを見上げた。アフィーリアと同じエメラルドグリーンの瞳。元の自分の姿を見せたら、目の色を変えて殺しに来るだろう。面白そうではあるが、今はアフィーリアという別の玩具がいる。
――お楽しみは後に取っておこう。ねえ、君もそう思うでしょう?
それにしても、とフィロメーノは姿が見えないのを良いことにソファーに上って寝そべり、ロゼとシェリーの情事を眺める。
シェリーは魔界に連れ去られたその日にロゼに身体を開かれている。それから毎日抱かれ、今では二人の娘を生んでいる。夫婦になる前となってからの年数を入れると百年以上は経過している。アフィーリアを生むまでにかなりの間隔がある。それは仕方のない事だった。
シェリーは天使。それも、天界の神の娘。生まれた時から特別な力を持っていたが為に外界との接触を一切許されず、定められた相手との一生を強制されていた。魔王であるロゼが魔界と天界の間にある強固な結界を蹴り破って連れて来られたとは言え、問題は山積みだった。ロゼには、元から幼少の頃からの婚約者コーデリアがいた。ロゼ本人がどうとも思っていなくても、コーデリアは五大公爵家の一角ドラメール家の令嬢。強大な魔力とそれに見合う美貌の持ち主。また、プライドも人一倍高かった。ずっと一途にロゼだけを想い続けたコーデリアにとって、急に現れた神の娘の存在は邪魔者以外何者でもなかった。
二人が結ばれ、正式に夫婦となってもコーデリアは許さなかった。ロゼの愛を欲した。
――哀れだね……君は。熟思うよ。高位魔族の女は、自分こそ至高の花だと思い込み相手に愛されると勘違いをする
今のアフィーリアの様に、当初はシェリーも何度も部屋から抜け出してロゼから逃げようとした。天界に帰りたいという願いとこれ以上ロゼの良いようにされたくないという気持ちから。ロゼもロゼで、今のアフィーリアの様に逃げ出したシェリーを捕まえては好き勝手に扱っていた。流石に娘相手にシェリーと同じ事はしないが、あの当時のシェリーは毎日泣いて啼いてばかりであった。
ふわあ、と大きな欠伸をしたフィロメーノ。ベッドの上では、顔を赤く染めてロゼに愛撫されているシェリーが甘い声で啼いている。退屈な眼差しで情事を眺めつつ、もう一度欠伸をした。
フィロメーノは今日の昼、盗み見た魔王の執務室で起こった出来事を思い出した。
○●○●○●
アフィーリアが家出をして二週間経過。側近のレオンハルトによってアフィーリアが彼の甥ベルベットと一緒にいると判明したものの、何処にいるかまでは未だ分からず。だが、謁見の間にて、冒険家で有名なシルヴァ公爵からアフィーリアが自身の末っ子のベルベットと一緒にアンデルの村にいると報告を受けた。報せを届けてくれた鳥をシルヴァ公爵の元へ返してやり、また、末っ子のベルベットを溺愛しているシルヴァ公爵夫人でありレオンハルトの妹であるアーデルハイトを鎮静化させて屋敷へ戻した。
執務室に戻った所で改めてシルヴァ公爵からの手紙を読んだ。
「“月の涙”か。懐かしいなあ。確か、前に見たのは我輩達が子供の頃だったのう」
「でも、何だってまたフィーちゃんはそんな物を欲しがってるの?」
話を聞いたロゼの双子の弟リエルが皆の疑問を代弁した。ロゼは手紙にはこうあると口にした。
「“月の涙”に関する本を読んで欲しくなった、と書いてある」
「ああ、そう言えば以前ネフィが“月の涙”について書かれた本を書庫室から持って帰って来た事がありました」
そう言うのは宰相を務めるアリス。彼もシルヴァ公爵からの手紙をロゼに見せられ、あの困ったお姫様がアンデルの村にいた事に驚きを隠せなかった。
魔王城がある場所から、東の果てアンデルへアフィーリアが一人で行くのは不可能。行き方も知らない上に空を飛んでも一週間は掛かる。
「アフィーリア嬢はシャルル殿に任せるとしよう。後の問題は、誰がアフィーリア嬢を連れたかだが」
「それについては何も書かれてないの?」
「……それが」
言い難そうにアリスが言葉を濁す。手紙には、アフィーリアをアンデルの村へやった犯人も其処にいたと書かれていた。
しかし――。
「その人物に関しては、誰かは明かせないらしい」
「またどうして」
「ロゼが知れば、先ず間違いなく犯人を処刑するからでしょう。現に、手紙にも[陛下が知るとその相手を処刑してしまう可能性があるので明記は出来ません]と書かれています」
犯人を殺せばアフィーリアが悲しむ。遠回しに告げる事実に何も言えなくなる。
彼等側としたら、魔王の娘の我儘を聞き入れただけとは言え、城に混乱を齎した相手に何の処罰を与えない訳にもいかない。“月の涙”採取は今日の夜中。採取を終え次第アフィーリアを城へ連れて戻るとあるが、あの子が犯人が誰か言う筈もない。
すると執務室にノックがされた後、入室の許可を貰ってセリカと紫色の髪と瞳をした侍女が入って来た。
「おやあ、セリカとクリスタ。どうしたのだよ」
「私はクリスタに一緒に来る様に言われただけなので……」
「良いでしょう。大事な話があるんだから」
クリスタはきつい印象を受けがちな美女だ。彼女の姉がそうであったように。只、中身まで姉と同じではない。不遇な扱いを受ける甥を心配し、時に姉のあまりの扱いの酷さに苦言を呈する程だった。
ロゼの前に立ったクリスタは衝撃的な発言をした。
「例のお姫様を城の外へ連れ出した犯人、知ってるわよ」
室内の空気が一瞬にして変わった。
アリスが誰かと問いかけると更なる爆弾を落とした。
「あたしよ」
「……は?」とアリス。レオンハルトもリエルも目を見開いたまま固まっている。セリカも然り。……ロゼだけが、自分が犯人だと告げたクリスタを今にも殺しそうな程濃い殺気を纏った瞳で見上げる。
「あたしがアフィーリア様をアンデルの村へやった」
「……理由を聞こうか」
静かだが、非常に重苦しい殺気を纏った低い声。たった一言誤っただけで魔王の逆鱗に触れてしまいかねない。否、今既に触れている。寸前の所で抑え込んでいるだけで。クリスタの返答次第で城に甚大な被害が生まれる。
クリスタが視線をロゼから窓へやった。昼の青い空。大きな翼を羽ばたかせ大空を飛ぶ鳥を紫の瞳が追う。
すぐに視線をロゼへと戻した。
「子供ってね、一つの場所に無理矢理押し込められているとその内、大人でも考え付かない行動をするものなのよ。今は子供で魔力操作も下手、扱える魔術の数だって多くない。でも、魔王の娘ってだけで秘める才能は当然大きい。なら、まだ下手でずる賢い知識を持つ前に一度外の世界へ逃がした方が良いのよ」
「それでアフィーリア様の身に危険が迫ったら、クリスタ、貴女はどう責任を取るつもりだったのですか」
アリスの厳しい口調。アフィーリアを心配しての物と何も考えず、クリスタがアフィーリアを外へやる行動をする筈がないという疑問。
「アンデルの村は東の辺境伯オステン家が治める場所。治安も悪くない上に彼処の村人はお人好ししかいないから、東の果てに行きたいと願ったアフィーリア様には丁度良い場所だったのよ。一応、何かあった時の為に監視用の魔術は密かに付けさせてもらったわよ。何も反応は無かったけど、今日様子を見に行ったらとてもピンピンしていたわ。城にいる時より生き生きしていたわよ」
「……」
「あたしの言ってる意味分かる?」
「クリスタっ、いくら昔馴染みとは言え陛下に対する物の言い方でありません!」
「うっさいわね。良いでしょう。いるのはあんたの言う昔馴染みしかいないんだから」
窘めるセリカに噛み付くクリスタの言動は、目上の者に対する口調ではない。アフィーリアの侍女を務める以外にも、シェリーの護衛を任されている上、元は『騎士団』の上級騎士な為に身に付いた敬語が抜けられないセリカも昔馴染みの一人。伯爵家の令嬢でありながらもアフィーリアの専属侍女を務めるのは、純粋な武力だけなら魔界随一の実力を誇る為。魔術を抜きにして彼女に勝てる者はほんの一握りか、いるのかすら不明だ。
ふん!とそっぽを向いたクリスタに穏やかな口調でリエルがとある疑問を口にした。
「それにしても、どうして自分がフィーちゃんを外へ連れ出して自首しに来たの?君が一番知っている筈だよ。どうなってしまうか」
「……言ったでしょう。子供はずっと同じ場所に押し込められていると何をしでかすか分からないって」
また紫の瞳が外へ向けられた。雲一つない青い空。クリスタの脳裏に昔の光景が甦るが、忘れる様に首を振った。
「処刑したかったらしなさいよ。あたしには遺して困る家族も恋人もいないから」
「……」
クリスタの生家ドラメール公爵家は、半年前ロゼの怒りを買って一族全員処刑された。但し、ドラメール家滅亡の原因となったコーデリアだけが未だレオンハルトの悪趣味な遊び場にて幽閉されている。様々な薬を試す実験体として生かされている。シルヴァ家当主シャルルの手紙には、アフィーリアをアンデルの村へ寄越した相手の名前は明記しないとあった。知ればロゼが処刑してしまうから。……だが、理由はそれだけじゃない。アフィーリアが悲しむのともう一つある。
「クリスタ」リエルが呼ぶ。
「君が死んだら、一番悲しむのは誰かな?――君の甥っ子達だ。違う?」
「……そうね」
姉コーデリアがロゼとの間に生んだ双子の兄弟。ユーリとハイネ。愛を欲した故に、子を生めばその愛を向けられると信じて生んだのに結局愛を得られず、挙げ句その子に八つ当たりする様に虐待紛いな教育をしたコーデリアの忘れ形見。
ポツリと頷いたクリスタはゆっくりと話し始めた。
「最初……あの二人が生まれた時ね、殺してやろうと思ったわ」
「……」
誰も声を発しない。
クリスタの声に耳を傾ける。
「あんなどうしようもないのが母親になれる筈がないと確信していたから。自分に似たユーリは最初から無視して、あんたと同じ瞳の色をしたハイネでさえ、世話をしたのはたった数日。後は乳母に丸投げ。大きくなっても今度はユーリには次の魔王になる為の虐待同然の教育を、ハイネには……」
続きを言いたくないのか、言おうか言わないか迷いながらも口を開いた。
「ハイネには……アルバーズィオと身体を重ねている所を何度も見せ付けて……。偶然、部屋を訪れたあたしが見つけなかったら、あのどうしようもないのがアフィーリア様に危害を加えるまではずっと同じ事をしていたわ」
ユーリの虐待紛いな教育は何度クリスタが訴えてもコーデリアは聞く耳を持たなかったが、ハイネについては別だった。仮にも魔王の愛人である彼女が、他の男と身体を重ねていたと知られれば元から悪い対面は更に悪くなり。また、実の息子に父親ではない他の男と性交している光景を見せつけていた淫乱な変態女だと言い触らされる。傲慢でプライドだけは人一倍高いコーデリアは鬼の形相でクリスタを睨みつけながらも、以降は同じ行動をしなくなった。
だが、一時期双子の心理状況が極めて不安定になったのは言うまでもない。ずっと泣き続ける二人をクリスタは楽にしてやりたいと思った。愛に狂った女の腹から生まれた可哀想な双子の兄弟。父であるロゼに愛されてはいる。だが、子供にとって母親の愛情というのは非常に大きく大切な物。幾ら父親が、周りが愛を持って接しても母親の愛情だけは与えられない。
夢魔に依頼し、生まれてくる母親を間違ってしまったが為に不幸になった兄弟を苦しみがない永遠の眠りに就かせてやろうとした。
「でも、しなかったわ」
ある日、見てしまった。地獄に等しい世界でも、懸命に生きようとする姿を見て考えを変えた。また、その頃からアフィーリアがユーリに四六時中引っ付く様になった。最初はユーリが好きで引っ付いている様に見えた。周囲の目も同じだった。人の都合も考えず、ずっと引っ付いてばかりいられるユーリが可哀想だという声も聞いたがクリスタは違うと分かっていた。アフィーリアが引っ付くのは、決まってコーデリアが近くにいる時だけ。いなくなるとユーリの側を離れ、違う所へ行く。何度か繰り返すとアイリーンもいる様になった。アフィーリアやアイリーンがいるとコーデリアはユーリに手をあげられない。ユーリを守る為に側にいた。また、ハイネにはユーリの側へ行くよう然り気無く誘導していた。自分が無理矢理ユーリに引っ付いて邪魔をしていると思わせて。そうすれば、ユーリが大好きなハイネはアフィーリアの行動を良く思わず、引っ付く様になった。
次第に感情が戻り――今の様になるまでに回復した。
「殺す必要が無くなって安心した自分がいて驚いたわ。あんなどうしようもない姉が生んだ子に愛着を持っていたんだもの」
「貴女が一番に二人を気に掛けていたからではありませんか」
アリスの言葉にクリスタは自嘲気味に笑う。
「……そうね。きっと、似ていたからかしら」
「似ていた?」
「幼い頃の自分に。実の親に虐げられている姿が公爵家を出るまでの自分と重なって見えたのよ」
「……ずっと疑問だった。何故、ドラメール公爵は執拗なまでにクリスタを?」
今度はレオンハルトからの問い。クリスタは紫の瞳を伏せた。
ドラメール公爵と夫人との間に生まれたコーデリアと同じ娘。姉との扱いの差は歴然だった。お姫様同然の扱いを受けたコーデリアと奴隷の扱いと同然のクリスタ。服は襤褸雑巾がまだまともに見える酷いものばかりで、食事も塵に等しい腐った食材、お風呂でさえ一ヶ月に一度入れればマシな方だった。また、日頃のストレス解消として屋敷中の者達に常に暴力を振るわれていた。性的暴行を受けていないのが奇跡だった。当時のクリスタのあまりの扱いを見兼ねたロゼが、今では酷く毛嫌いしている始祖の魔王に助けてやってほしいと願った。
クリスタを始祖に忠実なイグナイト家に預ける代わりとして、ドラメール公爵はコーデリアとロゼの婚約を迫った。ある程度の条件は飲まないとならないと判断した始祖の魔王は、仕方なくロゼとコーデリアの婚約を無理矢理結んだ。安全で衣食住がしっかりと揃ったイグナイト家に一時保護された後、城の侍女として働き出したクリスタを当時のリエルが理由を訊いた事があった。
高位貴族や城に仕える侍女は、基本平民や下級貴族の令嬢が多い。生まれだけは最高位の貴族令嬢であるクリスタが働く必要がない。当時のクリスタはこう話した。
『だって、あいつスゴく嫌がってるでしょ?あのどうしようもないのの婚約者にされて』
『それって、ロゼとコーデリアの事?』
『そうよ。今のあたしは、イグナイト家が後ろにいるから、あのどうしようもないのでも下手に手出しは出来ないわ。一応、あいつのお陰であの家から抜け出せたからちょっと位恩返ししたってバチは当たらないわ』
『そっか。ロゼの為なんだね』
『あいつもあんたも大変ね。顔だけは良いから』
『余計だよ。でも、それを言うならクリスタだって綺麗だよ』
『ありがとう。遺伝子の元がいいからね。あの家の連中、見た目だけはいいから。あんた、大きくなっても女を見た目で選んだじゃ駄目よ。見た目も大事だけど、やっぱり中身を重要視しないと』
『クリスタは僕のお母さん?』
無愛想で常に昏い色をしたエメラルドグリーンの瞳をするロゼとニコニコ微笑を浮かべるリエル。リエルの方がまだ話しやすい。ロゼも根が悪い訳ではないと今回の一件で知ったクリスタは、宣言した通り恩返しの為に侍女として働いた。
今こうして侍女をしているのも、セリカ同様ロゼが信頼する数少ない昔馴染みだから。
信頼を壊す真似をした自覚はあった。
そのせいで死ぬ可能性だってあった。
――それでも……
「……さあ。まあ、どうせ可愛い可愛い愛娘のお願いを聞き入れただけなんでしょう。あのどうしようもないのは、親の愛情が妹のあたしに向く事を恐れたのよ。だから、親のあたしに対する心証を悪くして愛情を独占したかったのよ」
本当にどうしようもない。なのに、脳裏にある光景は何時まで経っても消えない。また外を見た。遠い空を鳥が飛んでいる。
「クリスタ」
先程までと違い、殺気が消えたロゼの声がクリスタを呼んだ。
「今回の事について、お前自身に処罰は下さん」
「あら、お優しいのね」
てっきり、迷いなく処刑されるかと思っていた。
「だが、一時期にも混乱を招いたのは事実だ。十年間給金を半分に減額と特別手当て無しだ」
「!!?」
「あ、はは!良かったクリスタ。減額だけで」
笑うリエルに強い殺意を抱いたのは言うまでもない。
殺されるよりかはよっぽどマシなのだろう。昔馴染みの情があって、今回免れただけで奇跡だが、普通にお給金半分カットと特別手当て無しは痛い。青筋を立て笑うリエルを殴ってやろうかさえ思いつつも、深い溜め息を吐いたクリスタはこほんと咳払いをし、真っ直ぐとロゼを見据えた。
○●○●○●
――……と、その光景を生中継である場所の鏡で観ていたフィロメーノ。この後の行動は知らなかった。何故なら、夜中アフィーリア達が来るというので一足早く“エデンの森”へ向かい最奥部にある“月の涙”の花畑で待っていたから。
意識が飛んでいたらしく、ぼんやりとする意識のまま目を開けた。寝台の上では、情事が終わり、気絶したシェリーを綺麗に洗って違うネグリジェを着せるロゼの姿が映った。
「お休み、シェリー」
「んん……っ」
既に意識はないシェリーの首筋にキスを落とし、そっとシーツの上に寝かせた。
フィロメーノは起き上がると大きな欠伸をしながら、来た時と同じ様に扉をすり抜けてアフィーリアが眠るロゼの部屋へ戻った。行く前にシーツを掛けてやったアフィーリアは、シーツから逃れまた大の字になって寝ている。はああぁぁ~と深い溜め息を吐いたフィロメーノは寝台の上に飛び移り、アフィーリアの隣に寝転がった。
「アフィ。寝て……」
少しして、ロゼが部屋に戻った。寝台の上の一人と一匹に呆れてしまった。
大の字になって眠るアフィーリアと同じく大の字になって眠る白いタヌキ。どちらもとても幸せそうな寝顔を晒している。
「全く」
ロゼは寝台の上に乗り、アフィーリアと白いタヌキを引き寄せるとシーツを被った。
「こいつには野生がないのか?」
普通、野生の動物は急所であるお腹を見せて寝ない。心の底から安心出来ると信頼する場所以外。アフィーリアにどうしてか付いて来てしまったタヌキに言っても仕方ない。
「お休み、アフィーリア」
明日からの事は明日考えよう。
アフィーリアを抱いてロゼは眠った。
読んでいただきありがとうございました!
次回は、二匹のタヌキについて!です




