15話 待ってて
今回はかなり短いです。
鬱蒼と生い茂る森の中。昼でなかったら一切の光がない世界で永遠にさ迷い続ける羽目になったと私は溜め息をついた。
――母様を拐ったアルバーズィオの魔力を辿って、着いたのが城からも街からも遠く離れたヴレーミヤと呼ばれる森の中。陽光を遮る巨大な樹木に目を奪われていると「お嬢様」とセリカの声が降ってきた。
「ここから先は決して私の側を離れないように。宜しいですね?」
「うん」
「薄気味悪い森だねえ」
「俺達が普段入ってる森とは偉い違いだ」
「当然です。魔王城にある森は、城の者が手入れをして人が入っても迷わないようにしているからです。ヴレーミヤは未開の森。どんな魔物が潜んでいるかは把握しておりませんので、些細な変化でも感じたらすぐに教えてください」
「はーい」
「うん」
「へーい」
三者三様の返事をして母様探索へ向けて足を動かし始めた。
東西南北どこを見ても同じ景色しかない。道も整理されてなんかないから歩き辛い。アルバーズィオの魔力を辿るセリカを先頭にし、私達三人は後ろを歩く。
周囲をキョロキョロ見渡すソラとアシェリーと違い、私はさっきアイリーンに投げた心にもない言葉に自分で吐き出しておきながら嫌悪感を抱いた。大事に大事に育てられたあの子が泣き虫なのも、魔力操作が下手なのも仕方無いのに。それを言い訳にして、無理矢理アイリーンを置いてきた。最後まで私を呼んでいたアイリーンの泣き声が頭から離れてくれない。ユーリの冷たい非難の色を濃くした紫水晶が忘れられない。母様を無事に連れて戻っても、もう仲良し姉妹には戻れない。
……けど、良いんだ。良いんだよ。アフィーリアは妹を不幸にする悪の元凶。攻略対象キャラに殺されるラスボス的な存在。流石の父様も、言うことを聞かない上に妹を傷付ける娘はいらないと廃棄すると思う。魔界追放だろうが何だろうが処刑だけは何としても回避しなくては。
と。母様救出後のプランを考えているとセリカが急に止まった。ぼふっとスカートに顔が埋まった。
「どうしたの?」
「お嬢様。あれを」
「ん?」
セリカが指差す方を見ようと前に出たら、細長い道の先に建てられた一軒の屋敷がポツンとあった。遠目から見てもかなりの大きさを誇る屋敷が伯爵家以上の持ち主だと容易に判断が出来た。魔力は?と聞けば、びんびんに感じるとアシェリーが答えた。
「あそこに母様が……」
「アルバーズィオ様や奥方だけではありませんね。視ただけでも最低でも軽く二桁は越えます」
「……ノワール分家そのものが関与してるってか」
「……」
だとしたら、父様とノワール家の関係が最悪なものになる。本家当主がレオンハルト団長でもだ。
セリカのスカートの裾をぎゅっと握った。
「行こう。私達だけで片付ければ、ノワール家が母様を誘拐したって事実は消える」
待ってて。母様。今、助けに行きます――。
読んでいただきありがとうございました!
次回から、アフィーリア、他の人のチートっぷりを出せたらと思います。
でも先ず、タイトルの回収をします…。




