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1話 昼寝→転生?


この度初めて小説を連載することにしました!ゆっくりだし分かりづらい部分もあるかと思いますが生暖かい目で見守って頂けたらと思います!


また、基本シリアスさんはいません。稀に出てきても主人公の能天気スキルで回避されます。



 



 かれこれ何分間、金で装飾された豪華な姿見の鏡の前で自分の顔を凝視しているのか。記憶力に自信がない私でも黒髪黒目の平々凡々な日本人顔から、金髪にエメラルドグリーンの瞳っていう別人顔にチェンジしたら慌てるわ。


 待て待て!落ち着け私!思い出すんだ自分が何をしていたかを……!


 確か、高校三年の就職活動も終え、後は卒業をして内定を頂いた会社へGO。その間は、ずっと我慢していたアニメに漫画に時間を費やすと決めた。そんな時、幼稚園の頃からの親友に「面白いよ」とある乙女ゲームを勧められた。タイトルは思い出せないが内容は覚えている。魔界を治める魔王の娘であるヒロインが魔王候補達にすごく愛されるっていうやつだった。元がPCの18禁ゲームだっただけに家庭用ゲーム機に移植されても十分過激だった。


 だってだよ?朝の挨拶代わりにキスされて襲われそうになるんだよ?嫌だわそんな世界。ゲームだから許されるけど、現実でそんな事されたら即お巡りさんを呼ばないといけない事案である。


 攻略対象は五人と隠しキャラが一人。私は隠しキャラを除いたキャラは全員攻略した。皆、ヒロインを溺愛通り越して屈折し過ぎだろって位色んな方法で愛する。


 あ、確かこのゲームにはヒロインを陥れようとする悪役がいたな。ヒロインの一つ年上の姉。彼女は攻略キャラの一人に幼い頃から片想いしていたが、彼が好きなのは妹だと知ると執拗に妹を苛め倒す。基本どのルートでも残酷な死亡エンドしかない。


 ……。


 あれ?



「さっきから私、あの乙女ゲームの事しか思い出してなくない?」



 違う違う!そう、私はその乙女ゲームをやり尽くし、最後の一人になった所で取り敢えずゲーム機の電源を消して昼寝したんだ。うん。


 だから、目が覚めて日本人から外人に変身している自分の姿を見て固まったんだった。

 試しに自分の頬を思い切り引っ張るも痛みはしっかりとあった。痛覚があるなら、今目の前の私の姿は現実の姿ということ。そして、とても私室とは思えない程広大で豪華な装飾品で飾られた部屋も現実。


 そもそも、今の自分の姿に見覚えがあった。ありすぎた。


 その名前を口にしようとした時だった。



「ね、姉さま……起きてますか……?」



 控え目な声と共に小さな女の子が扉の隙間から顔を出した。


 愛らしい顔には似合わない涙をサファイアブルーの大きな瞳にたっぷりと溜め、泣きそうな表情でこちらを見ていた。私はその少女を知っている。姿は幼いが、さっきまで私が思い出していた乙女ゲームのヒロインだ。……彼女が私を姉さまと呼ぶって……それって……あの、つまりあれだよね、昼寝しただけなのに起きたら。



「姉さま……っ?」

「うん。起きてるよアイリーン。遠慮しないで入っておいで」

「は、はい!」



 勢いよく部屋に入るなり飛び付く勢いで私に抱き付いた可愛い妹のブロンドを撫でた。

 ……昼寝しただけで転生ってどういう事!?知らない内に死んでたって!?しかも、基本破滅しかないヒロインの姉って!!なに、私の未来はあのゲームにある残酷な死亡エンド!?



「姉さまぁ」

「なあに」

「もう、お体は大丈夫ですか?父さまがとても心配していました。このまま、姉さまは目を覚まさないんじゃないかって毎日暗い顔をしていました」

「そっか。心配かけちゃったね。元気な姿を父様に見せに行こうかな」



 するすると台詞が出るが今まで生きてきた6年間と前世…と言っていいのか分からないけど、前の自分の記憶を一度に持ったせいで脳内は絶賛修羅場である。父や妹が私を心配しているのは、ほんの数日前に起きたちょっとした出来事。


 特に身体の異常は見られない。もう一度妹のブロンドを撫で、既に涙が引っ込んだ綺麗なサファイアブルーを向ける妹の手を引いて部屋を出た。




 ○●○●○●○●○●


 アフィーリア=オールドクロック。それが今の私の名前。魔界を統べる魔王の娘。そして、昼寝する前までプレイしていた乙女ゲームでヒロインである妹をこれでもかと苛め抜く悪役の姉。シナリオ通りになると私の末路は基本残酷な死亡エンドしか待ってない。



「姉さま、父さま会ってくれるかな」



 魔界で最も偉大で強力な魔力を有する父は、毎日とても忙しそうに執務を熟す。だが、父の私達娘に対する愛情表現は凄まじい。私と手を繋いで魔王城の長い廊下を歩くのは妹のアイリーン。


 アイリーン=オールドクロック。悪役アフィーリアの一つ下の妹で、陽光に照らせば光輝くブロンドに母譲りの美しいサファイアブルーの瞳の持ち主。私の髪も同じ色をしているがここまで綺麗な色はしていない。父譲りのエメラルドグリーンの瞳は大好きだけどね。



「どんなに忙しくても父さまが私達を邪険に扱った事あった?」

「ううん!ない!」

「なら心配いらないわ。さあ、笑ってアイリーン!アイリーンは笑顔がとても素敵な子なんだもの。きっと、アイリーンの笑顔を見たら父さまも喜ぶわ」

「はい!姉さま」



 ああ……笑顔が素敵なアイリーン……。ほんと、ゲームのアフィーリアは何故こんなにも可愛い実の妹を苛めたのか。ずっと思いを寄せていた相手が違う相手を好きだった。確かに悲しいし、相手に嫉妬するのも理解出来る。だが、物事には限度がある。一線を越えてはいけない。私はゲームのアフィーリアにはならない。何度も言うが残酷にも程があるだろと突っ込みたくなる死亡エンドなんか嫌だ。



「アフィ!目が覚めたのね!」



 父のいる執務室へ向かう途中に遭遇したのは、私達の母ーシェリーであった。父似な私に対し、アイリーンは母似である。アイリーンと同じサファイアブルーの瞳が私を映し、うるうると濡れていた。母は私を抱き上げると強く抱き締めた。



「良かったわアフィ……私の可愛い娘。元気なのはとても良いことだけれど、あまり危険なことをしてはいけません。あなたやアイリーンに何かあったら、ロゼはとても傷つくわ」

「はい。大変申し訳ありませんでした母様」

「「!?」」



 ……あれ?なんか、母とアイリーンが固まったんだけど……何故?



「お姉さまが素直に謝った……?」

「やっぱり、木から落ちた際に頭を強く打ったせいで……?でも、これはこれで良いのかしら?」

「う、うーん」

「……」



 そうだった。抑、私はアイリーンに木登りの方法を伝授している最中、誤って足を滑らせて落ちてしまったのだ。運悪く地上に出ていた木の根に頭を強く打ち付け、数日間眠っていたのだ。記憶を取り戻す前のアフィーリアはそれもうかなりのお転婆で、時間さえあればあちこち動き回っては騒ぎを起こす困った奴だった。


 ……で、悪さをして叱られても反省しない問題児でもあったわけだ。更に将来は妹を陥れ最終的には死亡。どうしようもないな。



「わ、私ももう分別のつく年頃。悪いことと良いことの違い位分かります。あの母様、父様にお会いしても?」

「もちろん。ああ……でも……今は駄目だわ」

「どうして?」

「今、お客様と大事なお話をされているの。ふふ、アフィーリアも目を覚ましたことですし、私と青薔薇園でお茶をしましょう」

「はい!ということは、デザートは母様の手作りですか!」

「あらあら、アフィーリアは食いしん坊ね。ロゼも私の作るお菓子が大好きだから、遺伝しちゃったのかしら」

「母さま!私も、私も母さまの作るデザート大好きです!」

「ありがとうアイリーン」



 母様を真ん中にして、私と母様とアイリーンは手を繋いで楽しく青薔薇園へ足を向けた。


 私とアイリーンの母にして、魔王である父の妻ーシェリー=オールドクロック。元は魔界の住民ではなく、天界という私達魔界の民とは遠い昔から敵対関係にある天使。しかも、神様の娘でそこでは『天輪の姫』としてそれはそれは大事に育てられてきたとか。サブイベで両親の馴れ初め話があるのだが、何でも暇でする事の無かった父が天界を襲撃した際、一際頑丈な結界で守られている部屋を見つけ、蹴破って中に入るとそこにいたのが、天使達に大事に守られていた母シェリーだったとか。彼女に一目惚れした父は、無理矢理母を魔界に連れ帰り婚約者がいたにも拘わらず彼女を正妻にした。


 言うなれば、私達姉妹は魔界の長い歴史上初めての、魔族と天使の血を持つハーフなのだ。それがどんな力を持つか……あー……どっかのルートでそれが分かる所があったはず……誰のルートだったかなあれ。


 母様に手を引かれながらやって来た青薔薇園。魔王の魔力によって咲き誇る庭園の中で最も美しい場所。青い薔薇は魔界でしか咲かない。そっと、薔薇に触れようと手を伸ばすと「駄目よアフィ」と白く綺麗な手が私の小さな手を覆った。



「安易に薔薇に触れて、棘が刺さったら大変よ。見るだけにしましょう」

「はい。母様」

「本当にきれいだよねー青い薔薇!」

「ふふ、そうね」


「――あれ?目が覚めたの?アフィーリア」



 ん?この声は……。



「あ、ハイネだ!それにユーリもいる!」



 ハイネ……ユーリ……


 ……。


 ……。



 げええええええええええええええっ!!!



「あ、ホントだ。起きたんだ野猿」

「ゆ、ユーリ!夫人の前でそんな事言っちゃ駄目だよ…!」

「良いのよハイネ。アフィが元気を通り越して、とてもお転婆さんなのはお城の人皆知ってるから」

「わぁーい!ユーリもいる!一緒にお茶をしましょう!ね!姉さまもそれが良いですよね?」

「あ……え……と……うん。良いと思う」



 良くない……全然良くないわー!


 未来で私に破滅を齎すキャラ二人といきなり接触ですか!?


 しかも一緒にお茶会!?



 いーやーだー!!!



 

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