発覚と使い魔14
ここからはシルビィの視点です。
ロキ様に言われて、天界に向かった。
雲の遥か遠くの空に天界の大きな門はそびえ立つ。
人間には決して見つける事の出来ない異空間。
それが天界。
門の前で門番から厳しいセキュリティーチェックを受けてから、ようやく天界には入る事が許される。
門の中に広がるのは、人間界で言う天国とは違う景色。
天界の空は常に青く、白い雲が漂ってる。
空気は澄んでいて、あちこちで鳥がさえずり、色とりどりの草木や花々が咲き誇る楽園。
点在するのは、白い建物。
お城だったり、神殿だったり、人間界で言う昔の西洋って感じだ。
俺達の住む精霊界とは違い明るいイメージを持てる世界。
街並みもだけど、そこに行きかう人々も、西洋っぽい。
綺麗なドレスローブを来た神様達が、優雅に街を行きかう。
頭には天使の輪みたいなのを、着けた神様なんかも中にはいる。
でも、殆どが人間と変わらない見た目。
美男美女ぞろいなのは、神としての神々しさからなんだと思う。
この面子の中に入っても、蒼空様は見劣りしないよな、なんて思いながら空中を進む。
はっきり言って、今の俺の召喚者はロキ様じゃなから、あの人の指令を聞く必要はないんだけどさ。
蒼空様に関する事だから、とにかく天界に来てみたんだよ。
見かけない契約の印ってのが、なんだか気になったから。
「天界の書庫だったよな」
ふわふわと浮かびながら、目的の書庫を目指す。
あんまりみんなが利用するような場所じゃない。
神様でも限られた面々が出入りするだけ。
俺は、中央塔を横切って書庫を目指した。
中央塔ってのは、全能の神ゼウス様が住まう場所。
この天界、精霊界、人間界の全てを総べる神様。
何人たりとも逆らう事は許されないし、逆らう事もない。
ゼウス様の他には、側近である神々も中央塔には控えてる。
まず、ポセイドン様。
海洋の王。
全ての海や泉をつかさどる神様。
次に、アポロン様。
太陽神。
予言や芸術、太陽を司る神様。
そして最後は、アフロディーテ様。
エロスの神。
美と愛を司る神。
この3神が中央に控えてる。
この天界には、12神と呼ばれる存在が居て、そのそれぞれが下界の何かを司ってる。
中央に居るアポロン様、ポセイドン様、アフロディーテ様もその12神の中でも高い位にいる。
そして、すべてを総べる神がゼウス様なのだ。
本来なら、もう一人中央に控えてる神が居るのだけど、その神は自分の支配する冥王界からあまり出たがらない。
その名をハーデス。
文字通り冥王神。
冥王を司り、天界や下界からは一線を置いている。
少し変わり者だけど、かなりの実力者と言える。
ま、説明はここまでにして先に進んじゃおう。
他の12神はその都度紹介していければと思う。
俺は、目立たない様に飛びながら書庫についた。
書庫には特に門番なんかは居ない。
何らかの魔法が掛けられていて、疾しい心を持つ者は侵入できない様になってるらしい。
なんとも、神様らしい力の使い方だ。
大きくそびえ立つ書庫は、古めかしさを漂わせてる。
重くて大きなドアの前に俺は佇む。
俺の何百倍もあるこの大きなドアをどうやって開けるのかなんて愚問だ。
この書庫には俺達召喚獣専用の入り口があるんだよ。
ま、魔法で大きくなっても入れるんだけどな。
敢えてそうしなくても、専用のドアを利用すりゃいい。
神様に召喚された俺達みたいなのが、神様達に調べものを頼まれた時によくここを利用する。
だから、専用の小さなドアが設けられてるんだ。
俺はふわふわとドアの中央まで飛び上がり、真ん中部分に作られてる小さなドアのノブに手を掛けた。
キーっと蝶番が軋む音を立てる。
「ちょっと立て付け悪くないか?」
文句を言いつつも開けたドアから書庫の中に侵入した。
書庫の中は静かで、誰もいる様子が無かった。
所狭しと立ち並んだ本棚や小ケース。
埃っぽさを感じながらも、俺は目的の場所を目指す。
「いつ来ても、陰気くさいよな」
パタパタと羽を動かすたびに埃が舞う。
魔法で清潔に保っておいてくれよなぁと悪態をつきながら目的の物を目指す。
確か、契約に関しての資料はあの辺だったような。
書庫の奥。
幾つかの本棚を超えて、目的の場所を発見する。
一番奥ばった隅の方に、契約に関して資料が集められた小さな部屋がある。
一言で契約と言っても、色んな契約がある。
神同士の契約、俺達みたいな召喚獣との契約、そして人間との契約。
こと、契約に関しては厳重に保管されてる。
悪用すれば、とんでもない事態を引き起こしかねないからだ。
神様が悪用? って思うかもしれないけど、人が考える以上に神様が全員善人って訳じゃない。
妬みや嫉妬、今の地位に飽き足りずに上を目指そうと下克上を目指す連中。
ゼウス様が目を光らせてるから、目立って混乱を起こそうとする神は居ないけど。
腹ン中じゃ、何を考えてるか分からない連中だっているんだ。
俺は小部屋のドアに手を当てた。
そして、その名を叫ぶ。
「我は召喚獣セレビィ、この名において誓う。疾しい思いは微塵もない」
スーっと静かに開く扉。
俺の中の真実をドアにかけられた魔法が読み取ったのだ。
「さてと、探しますか」
そう言いながら部屋に入ると、後ろでドアが自然にしまった。
他の侵入者を寄せ付けないように。
俺はロキ様に教えられた棚を探す。
ロキ様に触れた時に必要な情報を俺が読み取っておいた。
俺達召喚獣は神に触れただけで、その思考を読み取れる。
便利だろ?
でも、読み取った情報を悪用しようと口に出したり、人に知らせたりは出来ない様になってる。
もしそうしようとした時、俺達は銀色の粉になって消えてしまうって言う仕組み。
神様に都合のいいように出来てるんだよねぇ、これが。




