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落ちてきたのは神様  作者:
パンドラの箱
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パンドラの箱16



「俺はもうお前以外抱くのを止めた」

あぁ・・・そうですか。


「いやいや、ちょっと待て。私は抱かれないし」

立ち上がって大声で叫んだ。

何をさりげなく言っちゃってんだよ、こいつは。


「おい、座れ」

そんな私にロキはあくまでも冷静で。


「・・・」

なんだ、この状態は?


「どうやったら傍に居ていいんだ?」

切なげにそんなこと言われてもなぁ。

私の方が苦しくなっちゃうじゃん。


「傍にいればいいじゃん。ていうか傍に居るんじゃないの? 今でも」

「お前は学校で俺を避けるじゃねぇか」

いやいや・・・避けるも何も、女の子達に囲まれてるあんたに近づけねぇよ。


「ロキ、私はチャレンジャーじゃないからね。あの女の子達の輪には入っていけないし、入りたくもない」

あの群れに飛び込む勇気なんてあるか。


「分かった。あいつらを近づかせなきゃいいんだな?」

「・・・うん・・・まぁ、そうだけど。そんな事したらみんな遊んでくれなくなっちゃうんじゃないの?」

エロ神様の楽しみが減っちゃうよ。


「別にいい。お前以外いらねぇし」

・・・胸がキュンってなった。

無茶苦茶 不覚だけど・・・キュンってなったじゃん。


「本当に、どうしたの? ロキ」

変だよロキ。

何か変だ。


「なんでもねぇ。この一週間考えた。色々考えた結果、蒼空の傍に居る事にした。他の女は全部切る。だから、傍に居てくれ」

ギュッと抱きしめられた。


「・・・」

ど・・・ど・・どうなってんのぉぉぉぉぉ~。

ドキドキバクバク、私の心臓はお祭り騒ぎ。


「ろ・・・ロキさん?」

「ククク・・・どうしてさん付けなんだよ」

ちょっと、首元で話さないでよぉ。


「・・・んっ」

ゾゾゾッ~ってしたじゃん。

しかも変な声出たし。

た・・・頼むから心臓に悪いって

一週間何を考えたって言うのよ?

ロキ、普通だったじゃん。

たしかに、少しはお互いに余所余所しかったけど。

それはこの変な印に、動揺したのもあるだろうし・・・。

エロで生きてるロキが、女の子切るってなんなの。

あんなことやこんなこと出来なくなっちゃうんだよ。


あ・・・いやいや・・・やな事・・・思いだしたじゃん。

そう言えば『お前以外抱かねぇ』とか言わなかったか?

ちょっとまて、私が相手をしなきゃいけないのか?

・・・無理無理、絶対無理。

愛のない行為とか無理。

1000歩譲ってロキが私を好きだとしても・・・。

私は、ロキをどう思ってるの?

優しく抱きしめてくるロキに視線を落とした。

ロキが居ない夜は眠れない。

それは何時からだろうか?

一緒にご飯を食べて、一緒に眠って。

ロキは出かけても夕飯と私が眠る時には傍に居てくれる。

それは何時からだろうか?

最初から・・・分からない。

でも、ロキは大切な家族。

私はロキが居てくれるから、一人の寂しさを味合わなくて済んでる。


「蒼空、俺の傍に居てくれ」

ロキの瞳に囚われる。

瞳の奥の赤が燃えているように見えた。


「ロキ・・・」

ゆっくりと近づいてる来るロキの顔。

重なり合うのは柔らかい唇。

触れるだけのキスを何度か受けた後、角度を変えたロキの唇は私の唇を貪り始めた。


「・・・んん・・っ・・」

漏れる艶めかしい自分の声に、体が熱くなる。

舌でこじ開けるように唇を割り開くと、私の口内へと侵入を果たす。

逃げる舌を絡め取る様に、ロキの舌が動き始めると、私のドキドキが加速した。

頭がボーッとし始め、ふわふわした感覚に体が包まれた。

身体が倒れそうになって、ロキの背中に手を回してしがみついた。

その瞬間、ロキの体がビクッと跳ねた。

水音が激しくなり、2人のキスは深い深い深海に進みだす。

ロキの甘いキスから解放されたのは、私が意識を失う一歩手前だった。


「はぁはぁはぁ・・・」

胸を押さえて、新鮮な空気を肺に取り込む。


「ククク・・・だらしねぇな、これぐらいで」

「うっさい、ロキのあほ」

顔が赤いであろう自分と、余裕なロキ。

無性に腹が立ったけど、ドキドキが止まらない。

もう~なんなのよ。


「そんな顔も可愛いな」

赤らんだ私を見ながら口角を上げたロキに、やっぱりドキッとしてしまう。

私が完全に遊ばれてるみたいじゃん。

・・・ううん、遊ばれてる。

そうだよ、ロキは色んな女の子を抱いてきてる。

もちろん天界で神様や天使さん達だって、虜にしてきた。

そんなロキが・・・私を好きなんて、あるわけないわ。

私、からかわれてるだけだよ。

ロキは、『傍にいてくれ』って言ったけど、好きだなんて言ってない。

なのに・・・勘違いしちゃうじゃん。

どうしてそんな簡単な事に気づかなかったんだろう。

それにロキはいつか傍から居なくなっちゃう。

だから・・・封印したじゃん、気持ちを。

『...だよ』この言葉は絶対に封印しなきゃダメだ。


「ロキは、女の子の扱いに慣れてるから、いつも余裕だよね」

気が付いたら、そんな事を口にしていた。

あ・・・私、何言っちゃってんの。


「・・・馬鹿、余裕じゃねぇよ、ほら」

ロキに手を掴まれて、ロキの胸元に誘導された。

ロキの胸からがドキドキと早い鼓動が手に伝わってくる。


「・・・早い」

「あぁ、お前が相手だと早くなんだよ。こんな事、今まで一度だってなった事ねぇのに」

「だって・・・」

女ったらしでしょ? と続けようとした言葉は、言えなかった。

あまりにもロキが私を優しく見ていたから。

どうして、そんな顔で私を見てるの?


「お前が傍に居ると、いつもこんなになっちまう」

ロキが切なげにそう言った。


「ロキ・・・・?」

「お前もこんな風になって欲しい」

私の手を離すと、自分の胸のあたりをトンと叩いた。





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