空から落ちてきた4
ある意味悪目立ちする5人組ではあるが、クラスでは一応中心ぽくなってる。
あんまり目立つのは好きじゃないのに、この個性的なメンバーのせいで、私まで一目を置かれてる。
うちのクラスは、なんだかんだ言っても仲が良い方だと思う。
「姫ちゃん、また後でねぇ」
「遅れないように帰って来いよ」
「ばいば~い」
クラスの皆から声がかかる。
「ほ~い! バイバイみんなぁ」
ドア付近で振り返って手を振った。
「「「いや~姫ちゃん可愛い~」」」
何故だかそう叫ぶ女子と、真っ赤な顔になる男子。
毎回の事ながらに、意味不明だ。
クラスの皆は、私を姫と呼ぶ。
勿論、苗字が姫野だから。
この学校で、私を名前で呼ぶのは、未来先輩と咲良ぐらいだ。
騒がしい教室を後にして、屋上に向かう。
色々な生徒の視線を集めながら歩くのはいつもの事。
初めは戸惑ったけど、最近慣れた。
屋上に上がる階段の手前で声を掛けられる。
「蒼空、今から屋上? 今日は私も良い?」
「良いよ、咲良」
クラスが違う咲良はこうやって、時々参加する。
咲良は咲良で、クラスの友達との付き合いもあるから、適当にやってくる。
6人になったメンバーで、屋上のドアを押し開けた。
そこは心地好い5月の風が通って、気持ちの良い場所になっている。
屋上の半分向こうに、うちの学校で有名な不良グループのが貯まってるのが見えた。
まぁ、やっぱり不良=屋上は定番。
これもいつもと変わらないし風景。
「姫ちゃ~ん」
「こっちおいでよぉ」
「オヤツあるよ」
不良君達が笑顔で、声を掛けてくれる。
「ご飯食べたら行くね」
そう言って手を振ってから、皆でいつもの定位置に座る。
弁当を食べて、不良君達にオヤツを貰って、有意義な昼休みを過ごす。
これが私達のいつもの光景。
不良君達とどうして仲良しなのか? と言うと、リーダーの一人が衣弦のお兄ちゃんなのだ。
だから、怖くもなんともない。
みんな見掛けは、カラフルだったり、強面だったりするけど、凄く良い人達。
まぁ、怒らせると怖いのだろうけど。
チャイムが鳴ってお昼休みが終わる。
再び眠気と戦う午後授業。
手の甲を抓ったりして、とにかく乗り切る。
放課後は、バスケで体を動かすから頭もすっきりしてくれたらいいんだけど。
授業が終わってから、すっきりするのも、どうかとは思う。
楽しくクラブ活動を終える頃には、夕日が辺りを照らし出していた。
校門でほとんどのバスケット部員と別れると、帰る方向が同じ咲良と未来先輩と泉先輩と並んで歩く。
未来先輩の隣を歩く黒髪ボブヘアーのバスケ部主将が、金本泉。
男勝りだけど、とても優しい。
熱血なバスケ馬鹿な所がたまにきず。
分かれ道まで、今日の練習について話しながら歩く。
初めの曲がり角で、泉先輩が別れる。
次の角で、咲良が手を振って去って行く。
最後の角で、美しい微笑みを浮かべた未来先輩と別れた。
ここまでは、いつもの事。
この後に、いつもじゃない出来事が起こるなんて、誰が思っただろうか。