空から落ちてきた30
「じゃ、首謀者は先輩達3人でいいですかぁ?」
突拍子もない私の質問に目を丸くする板倉先輩達。
「は? 何が言いたいの?」
「え? 良いじゃないですか答えてくれても。このガラの悪い人達はどこの人ですか?」
「あぁ゛? 度胸あるのか、馬鹿なのか分からねぇ女だな。俺達は西森高校だ、怖くて泣きそうか?」
私の質問に答えたのは間抜けそうな学ラン達のリーダー。
どうして泣きそうにならなきゃいけないんだろうか?
まぁ、西森高校って言えば不良校で有名だけどさ。
あんた達みたいな雑魚に、ビビる私じゃないんですけど。
「・・・」
白けた目で彼らを見てただけなのに、なぜか誤解を生んだらしい。
「怖くて口もきけねぇってか?」
こいつら・・・あほだ。
間違いない。
ケラケラと笑いケバ先輩達と、学ランヤンキーズ。
もうそろそろ相手するのも疲れてきたなぁ。
気持ちがだらけてきた。
「じゃ、板倉先輩達が主犯格でいいですね。襲われた女の子達をここに呼び出したんですね?」
念を押して聞いておく。
「煩いわね。だったらどうだってのよ」
苛々し始めた板倉先輩がとうとう口にした。
「いえいえ、認めてくれればすべて解決です。しっかり罪は償って貰いますからね」
「「「「はっ?」」」」
私の言葉に目を見開く彼女達。
「ぐだぐだ煩せぇ女だな。おい捕まえろ」
リーダーが声を荒げてそう叫んだ時だった、ヒーロー達が現れたのは。
「おっと! 終了~。うちの姫には手出し無用」
軽い口調で明るく登場したのは衣弦。
「そうそう、俺達の姫ちゃんには手出しさせませ~ん」
ヘラッて笑った瑠衣は歩いてくると私の肩に手を置いた。
「観念しなさいよねぇ。証拠は掴んだから逃げても無駄よぉ~」
と透き通る声で笑うのは咲良。
「ヤるって言うなら相手するけどね?」
パキパキっと指を鳴らしながら微笑むのは麻美。
「なっ、なんなのよ。どうしてあんた達まで」
明らかに焦った声を出す板倉先輩。
「へ? だって私の仲間だもん」
て抑揚なく答えたら、
「ず・・・ズルいじゃないの」
といきなりお門違いな事を言いだしたクルクルパーマ。
「ズルいって、何よ。あんた達の隠し玉はそいつらでしょ? それなのにズルいなんてよく言えるわね」
学ランヤンキーを指さして、突っ込んだのは咲良。
「それに、ロキには言うなって言ったけど、仲間に言うななんて言われてないですしねぇ」
ヘラリと笑ってやった。
「卑怯者」
そんな風に罵られても、困りますけど、板倉先輩。
「卑怯はどっちよぉ~!」
叫び声が聞こえてそっちに視線を向けたら、離れた木陰からムービー片手に蜜が怒ってた。
蜜は・・・そこで何をしてるの?
頭の中に疑問が生まれた時、
「あぁ、蜜は証拠映像を取る係よ。ビデオカメラを放送部で借りてきたみたいよ」
麻美が端的に答えてくれた。
ほほ~なかなかやるねぇ、蜜。
「証拠ですって」
金切声をあげたのは板倉先輩。
「そうみたいですね。もう言い逃れできないですねぇ。警察に届けちゃいますね。ロキにもバレちゃうかもなぁ」
板倉先輩達の青ざめた顔が面白すぎる。
もちろん、ロキには私からしっかり言ってあげるけどね。
そしてあいつにはお説教だ。
「こいつら全員ヤッちまって、あのムービーを奪い取ればいいじゃねぇか。俺らの方が人数多いんだし」
楽観視してるこのリーダーは余程のアホだ。
「フフフ・・・出来るものならどうぞ?」
殺気を一気に放出して私を庇うように立つ咲良。
この咲良をまじかで見たのは久しぶり、鳥肌立ちましたよ。
「私もいつでもOKよ」
咲良の横に並んだ麻美。
「参ったなぁ~俺達の出番なさそうだぜ?」
とケラケラ笑う衣弦。
うん、そうかもしれない。
こんなあほそうなヤンキー達は、咲良と麻美で十分だわ。
「舐めてんのか」
怒り狂った一人が、咲良の前に躍り出た。
それは・・・一瞬だった。
咲良が放った上段蹴りを頭にまともに食らって、地面に突っ伏したのは相手の男。
それを見てリーダーも板倉先輩達も明らかに動揺を見せた。
「次は私ぃ~。誰かかかってきてよ」
麻美・・・そんなこと言われて来る奴、あんまいないからね。




