空から落ちてきた29
この人達の思考はきっと私とは違うのだと理解する。
誰が好き好んであのエロ神様と関わるもんですか・・・。
ま・・・悪い奴じゃないけど。
確かに、優しい所もあるけど。
傍に居ると安心する事もあるけど。
あ、だぁぁぁぁ~!
良い所ばっかり思い浮かべてどうするのよ~。
そもそもアイツの貞操なしのおかげで、私はこうして呼び出されて、余計な手間を取らされてるんじゃないか。
ブンブンと首を左右に振る。
「ちょっと、話聞いてんの?」
ケバ先輩2が一歩踏み出す。
「・・・」
あっ・・・ごめん、存在をすっかり忘れてた。
「当たってるから何も言えないわけ?」
「いえいえ・・・そんなんじゃないですよ。違う事考えちゃってました。ごめんなさい」
悪いと思ったから素直に謝ったのに、
「調子に乗ってんな」
パシッと音がして頬が熱を持った。
あぁ~叩かれちゃった~。
ケバ先輩もとい、板倉先輩の掌が赤くなってるね。
自棄に冷静に分析してる自分が居た。
「これで気が済みました?」
叩かれた頬を摩りながら、真っ直ぐに板倉先輩を見る。
「なっ、何なのアンタ、ほんといちいちムカつく子ね。」
「そうですか。こんなくだらない事にいちいち巻き込まれる方がムカつきますけどね」
「ほんっと、口の減らない子ね。良いわ」
黒い笑みを浮かべた板倉先輩、悪い顔になってますよ。
「はぁ・・・じゃあ、もう少し言わせて貰いますけど。あなたに言われて、私がロキから離れたとして、今の私と同じに位置にあなた達が立てるとでも思ってるんですか?」
「・・・」
悔しげに唇を噛みしめる、5人組。
「それに、今までロキと関わった女の子に酷い事をしてるみたいだけど。何の意味があるの? ロキはその子達に特別な感情を持ってない。あなた達と変わらないのに。他人を傷つけて何が面白いの?」
私は声を口調を強めた。
ロキは今まで相手にした女の子の名前すら覚えていないはず。
みんな同じラインにしかいない。
それなのに、自分達が気に入らないからって、不当な力を使って女の子達をボロボロにするなんて許せない。
私の気迫の籠った言葉にバツが悪そうに肩を竦めたのは3人。
あの人達は、まだ救いようがあるかも知れないわね? なんて思いながら見る。
板倉先輩と、クルクルパーマと、ケバ先輩4は私に挑むように、挑戦的に笑ってる。
この3人は根性も腐ってるって事か?
救いようがない・・・小さく溜息をもらす。
「よく知ってるわね。誰かが貴方にチクッたようね。言わないように口止めの証拠写真を握ってるってのに、そんな馬鹿な事をした子は誰かしらね」
ウフフ・・・と笑った板倉先輩に憎悪が芽生える。
辱めるだけじゃなくて、証拠写真まで取ってるっての?
ホント腐った連中ねぇ。
「ホント、腐ってるね。そんなので、ロキが本気になってくれるなんて思ってるのが不思議過ぎる」
嘲笑って板倉先輩を見据える。
「言いたい事はそれだけ? この後どうなるか知ってるなら話が早いわね」
勝ち誇ったようにニヤッと笑う板倉先輩。
いよいよ・・・最終手段に出るって訳ね?
計画通りに事が運んでるわね。
順調に進む作戦に頭の中でほくそ笑む。
「出てきて頂戴」
クルクルパーマが声を掛けると、体育準備室の扉が開いて、ガラの悪そうな学ラン姿の他校生が5人ほどでてきた。
リーダーっぽい奴が私の顔を見てニヤッと舐めるような視線を向けてくる。
気持ち悪いったらないわね。
「へぇ~今日は格別上玉じゃねぇか? たっぷり可愛がってやるぜ」
ウゲェ・・・悪役そのももの台詞に寒気が走る。
「いいわよ。この子は特別はボロボロにしてやって。ロキ様が見向きもしなくなる程に」
勝ち誇ったように笑うと私を睨みつけた板倉先輩。
「へぇ~この人達に、今まで被害に遭った子を襲わせてたんですか?」
「だったらどうだって言うの? 貴方も今から同じようにされるのよ。証拠写真をネットで流してこの学校に居られなくしてあげるわ」
ホント、どこまでも腐ってる。
腹が立ちすぎて笑えてくる。
ロキの奴、今日帰ってたら絶対に説教してやる。
相手を選んで遊びなさいよね。




