空から落ちてきた21
スタスタと足取り軽く学校を目指す。
学校に近づくに連れて、同じ制服を着た生徒がちらほらと現れ始める。
うちの制服は、男子が白地に縁が金色で縁取られてる。
スラックスは薄めの黄なり。
女子は同じく白地だが、可愛いセーラーだ。
薄いピンクで縁取られていて、ネクタイは赤で白いレースがあしらわれてる。
一見お嬢様風。
この制服が着たくて入学した女の子も少なくない。
因みに私はマンションから近いので選んだに過ぎない。
校門が見えてきて、すれ違うクラスメートが次々と声を掛けてくれる。
「おはよ」
「おはよ、姫」
「姫ちゃんおっは~」
「よう、姫」
「おはよう、みんなぁ~」
手を振りながら挨拶を返す。
これがいつもの風景。
だけど、今日は少し違った。
校門を潜った所でケバケバ集団に囲まれたのだ。
「ちょっと良いかしら?」
「・・・」
嫌よ、香水臭いから・・・とも言えないので無言で話し掛けてきた女子生徒を見る。
彼女は確か、三年の・・・誰だっけ?
とにかく、ロキが遊んだ女の子の一人には違いない。
ロキ親衛隊の隊長をやってたはず。
フフフ・・・早速作戦に乗ってくれたのね。
馬鹿な人達。
「姫ちゃん、どうしたの?」
私がケバ集団に囲まれてるのを知ったクラスメートが、次々に集まって来てくれる。
ホント、友達思いの良い子達だよぉ。
「大丈夫だよ。すぐに行くから、みんなは先に行ってて」
ニッコリと笑って手を振る。
「本当に?」
心配そうな顔を見せたのは、クラス委員の深沢奈々子ちゃん。
黒髪おさげに、やっぱり定番の黒淵眼鏡。
委員長って感じの真面目ちゃん。
「ホントホント。ねぇ、先輩達?」
ケバ先輩に話を振ってやる。
「えっ?ええ、5分ほどで終わるわ」
ケバ先輩は奈々子にそう言った。
「わかりました。5分経って姫ちゃんが教室に来なければ職員室に向かいます」
凛とした表情ではっきりとした意志を伝える奈々子。
うん、すごく良い子だ。
毅然とした奈々子の態度にタジタジになるケバ先輩は
「わ・・・分かったわよ」
そう返事するしかなかったみたいだ。
「ならいいです。姫ちゃん、また後でね」
私に向かってにっこり笑うと手を振って昇降口を目指して歩きだした。
やっぱり、奈々子の迫力は凄いな~と感心してると、
「貴女、姫宮蒼空よね?」
と聞かれた。
ってか・・・今更それを聞くの?
「だったら何ですか?」
抑揚なく答える。
「態度が生意気なのよ。たいして可愛くもないくせに」
まさかの言い掛かり。
嫉妬に塗れた瞳で睨まれる。
綺麗な顔してるのに、残念な化粧の仕方してるなぁ~なんて。
ロキも手を出す相手を見極めて欲しいわ。
「へ~そうですか?」
興味なさ気に声を出す。
くだらない事ばっかり言わずに、早く呼び出ししてくれればいいのにね。
取り囲んでるメンバーから、口々に罵倒されるが、大して気にもならない。
だって、負け犬の遠吠えなんて怖くもない
早くしないと予鈴鳴っちゃうよ。
校舎の時計に視線を向けながら呑気に考える。
「蒼空ぁ~」
透き通るような声に振り返る。
「未来先輩~」
笑顔で手を振った。
「チッ・・・」
目の前に居るケバ先輩から舌打ちが聞こえる。
多分、未来先輩が現れたのが気に食わないんだろう。
未来先輩は東高校のプリンセスと呼ばれていて、綺麗なだけじゃなく、生徒からの人望も厚いんだよね。
ここで、未来先輩が来たのはケバ先輩には分が悪いんだろうと思う。
「放課後、体育準備室の前に来なさい。ロキ様には内緒よ。来なければ貴女の大切な人が危なくなるわよ」
ケバ先輩は私の耳元でそう言うと、仲間を連れて去って行った。
なんとも定番な呼び出しに笑みが漏れる。
ロキに言わなきゃいいんだよね?
ククク・・・放課後が楽しみ。




