空から落ちてきた1
「腹減ったぁ~、蒼空めしぃ~」
私のキングサイズのベッドに寝そべって、こちらを見てるロキ。
「煩い、私は忙しいの。勉強の邪魔しないで」
一度振り返って、ロキを睨むと再び机に向きなおしてカリカリとシャープペンを走らせた。
明日から大事はテストがあるのよ。
学年首位を守る為には、勉強は必須。
なのに、この馬鹿男は夕飯を強請る。
呼びかけられてもとにかく無視した。
「めし~、俺死んじゃうじゃん」
そう言いながら、後ろから私を抱きしめる。
「知らないわよ。あんたが大好きなお姉さん達に食べさせてもらえばいいじゃない」
胸元に回った腕を、シャープペンでブスッと突き刺す。
「いてぇ!何すんだよ」
不貞腐れながらも、私の首元に顔を埋めてくる。
ちょっと・・・吐息がかかるのよ。
しかもくすぐったいんだから、やめてよね。
「お姉さん達の所にいかねぇもん。お前が何か食わせてくれ」
耳元で喋んじゃねぇ。
「・・・んっ・・・やぁ」
ほら、変な声出ちゃったじゃん。
「おっ!色気あんじゃん。一発ヤッとく?」
「ヤダよ、他当たりな」
「えぇ~俺はお前てヤリてぇよ」
「ストレートに言うな!このエロ大魔王」
「えぇ~俺、魔王じゃなくて神様だし」
「知るか!・・・・んん・・・やめ・・・」
ロキは耳を甘噛みしてくる。
ゾワゾワした感覚が体を這う。
なに・・・これ、体が熱くなる。
胸元の手が、妖艶に動き始めた時、はっ!と我に返る。
「なにしとんじゃ」
首元に埋まっていたロキの頭に拳骨を落としたのだった。
「とにかく、後少しだけ待ってなさいよ」
元通りに座りなおすと、教科書をめくった。
私だって、好きで勉強してる訳じゃない。
足長おじさんのお金を出してもらってるんだから、せめておじさんが誇れるぐらいの成績をあげたいんだもん。
お世話になってるお礼も言えない分、私は態度で示したい。
「へいへい」
ロキは子供みたいに拗ねた顔をしながらも、再びベッドに戻って行った。
こんなロキとの生活が2週間も続いてる。
本当は1人暮らしだった私の所に、ロキが転がり込んできた。
私達は血の繋がりもなければ、付き合ってる訳でもない。
ロキは女好きで、女の子をとっかえひっかえやってる。
どうしてわかるのかと言うと、うちに居候を決め込んだ次の日に、うちの学校に転校してきたのである。
「いってぇ~なぁ。本気で殴るなよ。気持ちよかったくせに!」
「よくないわよ!ほら早くどいて!」
「ちぇ~ほかの女なら、今のでその気になるのになぁ」
私から離れたロキが頭を摩りながら、恨めしそうに私を見た。
「おあいにく様~。誰があんたのその顔に騙されるもんですか!」
ドキドキ煩い鼓動を知られないように、平気な振りを装う。
この奇妙な生活が始まったのは・・・・・・あの日だった・・・・・・。