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落ちてきたのは神様  作者:
空から落ちてきた
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空から落ちてきた17


「それはナイナイ」

箸を持っていた手を、左右に振った蒼空。


「いや、マジだって」

「・・・あんなにヤりまくってるあんたがありえないでしょ?」

「ヤりまくってるって、何を?」

ニヤリの口角を上げて意味ありげに蒼空を見る。


「うっさいわね。分かってるくせに」

こんな事で動揺する蒼空が可愛いと思う。


「イヤイヤ、ハッキリ言ってくれねぇとわかんねぇ」

「絶対に嘘だぁ。どうせ天界でも食いまくってたんでしょうが」

あながち外れてねぇ、鋭い突っ込みを受けた。


「ヤッてたけど、キスはした事ねぇよ」

「・・・ヤッたとかあんたが言うな。エロ過ぎでキモい」

まったく、口の減らねぇ女。


よし・・・苛めてやる


「じゃ、言い方変えて。沢山突っ込んできたけど、キスはしてねぇ」

「・・・なっ」

わなわなと唇を震わせる蒼空。

ほら、耳まで真っ赤になってんじゃねぇか。

処女は初心で面白れぇ。

今まで、処女だけは面倒だから食った事ねぇんだよな。


どんどん目の前のこいつが欲しくなる。

こいつの身の上話と、一人で頑張って来た話を聞いてから俺はおかしい。

こいつが欲しいって強く思うようになった。

体だけじゃねぇ、心もすべて欲しいんだ。

そして、俺がこいつの望む家族に慣れたらと幻想を描いちまう。


今までに心も体も欲しいと思った女は一人だけいた。

だけど、そいつの時よりも蒼空に独占欲がでちまう。

それでも、女遊びを止められねぇのは、こいつに手を出してしまいそうになるから。

気になる女と一緒に寝泊まりしていて、手を出さないようにするなんて不可能なんだよ。

こいつを泣かせたくねぇから、無理やりヤッちまうなんてありえねぇしな。

だから、性欲を他で吐き出す。

そうすりゃ、ウズウズしながらも我慢出来る。


俺、結構頑張ってるんだぜ。

それなのに、目の前の女は何にも分かっちゃいねぇ。



この前の土曜、衣弦の妹のプレゼントを買いに行った日。

俺があんなにヤキモチを妬くはめになるなんて思わなかった。


蒼空を欲しいと思ったとたんに、衣弦の気持ちにも気づいちまったし。

蒼空と一緒に現れた俺を見たとたんに、落胆しやがった衣弦。

まぁ、蒼空はそんなことちっとも気づいてねぇけどな?

こいつかなり鈍感だから。

自分が可愛くてモテる事にも気付いちゃいねぇ。

だから俺は、出来るだけ蒼空の傍で男達をけん制する事にした。


それなのに、俺がダメージを受けた。

衣弦と仲良く買い物する姿に嫉妬して。

二人の並んで歩く姿に嫉妬して。

衣弦を手招きする蒼空の姿に嫉妬して。


俺、完全にダサ過ぎた。

蒼空が俺以外の男に笑顔を向けるのは気に食わねぇ。

自分は他の女を抱いてるってのに、都合のいい話だけどな?



まぁ、そんな感じで、モヤモヤさせられつつ蒼空と暮らしてる。



「ロキ、もうすぐ出来上がるからお箸を出しておいてね」

「おう」

蒼空に言われて、食器棚から箸と茶碗を出してテーブルに並べる。


夕飯は必ず2人で食べる。

蒼空が寂しくないように。

出来上がった料理を笑顔で運んでくる蒼空が堪らなく愛しい。

蒼空は料理が美味くて俺はいつも満足させられてる。

家庭の温かみを知らない俺と蒼空は似た者同士。

だから、惹かれてしまうのかも知れねぇ。






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