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落ちてきたのは神様  作者:
最終章
148/151

最終章11


「アテーナー様って尻軽だったのかよ」

「ああいうのを色ボケって言うのか?」

「監禁とか有り得ないでしょ?」

「前々から高飛車な女だと思ってたのよね」

「美の女神を傘に着せて好き放題だものね」

大広間はアテーナーさんへの中傷で涌き出てくる。

ざわざわしながらも、彼女に向けられるものは冷たいモノで。

まあ、あんまり彼女自身の事を掘り下げるつもりはないから、ちゃっちゃと話を進めてあげましょうね。


「ま、色々と突っ込みどころ満載なんだけど、話を修正しますね。貴女の屋敷からロキは返してもらいました。だから、今後一切関わらないでくださいね」

アテーナーさんとファウルバウティさんの事は好きにしてくれれば良いしさ。


「なっ、どういう事よ。封印の腕輪が離れなければうちから出られないはずでしょ」

私の言葉にヒステリックに叫んだアテーナーさん。

ほら、自分で墓穴掘っちゃったね。


「封印の腕輪して監禁だって」

「こわっ」

「嫌がる相手にそんなにも執着するのかよ」

「迷惑だな」

「美の女神の癖に」

神様達がアテーナーさんへと視線は呆れを含んでいる。


「ち、違う。そんなことしてないわよ」

なんて焦って言っても、もう遅いですよ。


「ロキの腕輪は私が外しました。もちろん、要らないので屋敷に置いてきましたから」

「どうして貴女が・・・そんなこと」

出来るはずないと言いかけたアテーナーさんに、

「魔力を込めた相手よりも上回る力でなら外せるらしいんですよね。私、ゼウスの娘なので少し力の量が多いみたいです」

フフと笑って肩を竦めた。

お父さんには感謝だよね。



「・・・っ・・」

憎悪に顔を歪めて私を睨み付けるアテーナーさんは、なにかを仕掛けようと手を振り上げた。

その瞬間に動いたものは大勢いた。

お父さんに側近の2人、セルさんや他の屋敷に勤める警備の人達。


そして、「蒼空には指一本触れさせねぇ」とアテーナーさんの前に立ちはだかったロキ。



「・・・チッ・・・退きなさいよ」

ヒステリックに叫ぶアテーナーさんに、

「前にも言ったよな。蒼空に何かするならてめぇを殺してやるって」

ロキは殺気を出して凄んだ。

後ろにしてもヒシヒシと感じるロキの殺気は、私まで怖いと思う程だった。

ロキの背中を見ながら思う。

この人が好きだなぁと。

そして、それと同時に私を守る為に周囲に集まってくれた人達にも思う。

大丈夫だって話したのになぁと。

しかも皆焦ってるから、私がやたらと平常心になってしまう。


「あのさ、守ってもらってて言うのもあれだけど。みんなと話したよね。アテーナーさんは私に攻撃出来なくなるって」

と淡々と言えば、

「おぉ、そうじゃったな」

と苦笑いのお父さんと、

「これは参ったそうでしたな」

とミソラさんと、

「いや参った、アハハ」

とムルシリさん。

そして、「忘れてました」とセルさんが。

もう、みんなしっかりしてよね。


「おい、どう言う事だよ」

と振り返ったロキの顔は何故か怒ってた。

あぁ、そう言えばロキには話してなかったかもね。


「ごめんごめん、言ってなかった」

「・・・軽いだろ」

と呆れた顔で溜め息を吐かれた。


「ま、そこは多目に見てよ。説明するね」

アハハと笑ってロキに伝えてなかった話を伝えることにした。


「ああ、早く教えろ」

「了解。さっきさ、大広間の上空を銀の粉を撒き散らしながら飛んだよね」

「ああ」

「あの銀の粉を浴びた人は私に攻撃できなくなるんだよね」

便利でしょ? と笑ったら、

「・・・確かに便利だな」

と納得された。


「でしょ? 私の銀の粉って不思議な力が有るみたいでね。ラッキー」

「色々と言いたい事はあるけど、お前って相変わらず呑気だよな」

「それほどでも」

と頭に手を当てたら、

「誉めてねぇよ」

怒られた。

うん、良い突っ込み。


「て言うか、ずっと気になってたけど。どうしてここの敷地内で飛べるんだよ」

「良く分かんないけど、飛べるんだよね」

ま、便利だからあんまり深くは考えない。


「それはわしが説明してやろう」

あ、お父さん。

途端に周囲がざわめく。

凄いなお父さん、ちょっと喋るだけで皆の注目の的だね。


「ああ、聞かせてくれ」

ロキはそう言うと、私の隣に立ったお父さんをみた。


「この子が選ばれし者だからだ。どの神よりも尊ぶべき存在にして愛を司る女神だからの。蒼空の力はかなり強大なのじゃ。だからこの場所に施された力に抑圧される事はないんじゃよ」

なんだか、難しい話らしい。

まぁ、自由に飛べるので何でも良いや。



「もう良い。良く分かんねぇし」

ロキも同じ気持ちだったらしい。


「・・・」

まだ、聞いてほしいらしいお父さん。

一先ず置いとく事にしようかな。


「ちょっと、どういう事よ」

あ、忘れてた、アテーナーさんのこと。

美の女神の割りには影薄いなぁこの人。


「貴女が私にはなにも出来ないって事ですよ」

ほら、その指先は何をしようとしてるのかな?

ロキを押し退けて、アテーナーさんの前に立つ私を、彼女は憎々しげに睨み付ける。


「そんなの分からないわよ」

って言うとやたらと悪い顔をして指先から光を放った。


「蒼空」

ロキの声がしたけど、彼女の作り出した光は私には届く前に私の周囲に突然渦巻いた銀の粉に打ち消された。


「なんなのよ。えい、えい、えい!」

しつこく何回も打ってくるけど、どれも打ち消された。


「だから、無理なんですって」

便利でしょ? と笑ったら、

「どうしてよぉ」

と泣き叫び始めた。

周囲からは彼女の行動に憐れみの視線が送られる。

アテーナーさんは、自ら美の女神の称号に泥を塗ってしまったんだろう。


「ごめんなさいね。私も酷い目に遭いたくないですから」 

身を守る事は術は使います。


「・・・」

「ロキは返してもらいますね。まぁ、物でもないから返すとかって言う表現は違うかも知れませんけど、私とロキは恋人同士だから、横やりを入れてくるのは止めてください」

はっきりと伝えとかなきゃね。

ロキを失うのはもう嫌だもん。


「蒼空・・・」

ロキが嬉しそうに私の手を掴んだ。


「嫌よ・・・ロキは私のモノよ。ねぇ、ロキ、私と一緒に昔のように楽しく暮らしましょう」

すがり付こうとするアテーナーさん。


「触んな。何度も言ってるが俺は蒼空しか要らねぇんだよ」

アテーナーさんの手から逃げたロキは私の背後に回り込むと、私を両手で囲うように抱き締めた。

ちょ・・・ちょっと、人前でなにやってるのよ。

あ、人じゃなくて神だけど。


「な、なにするのよ」

と体をよじった私に、

「うっせぇ、黙ってろ」

と叱られた。

や~ん、なにするのよぉ。

大広間に居る全員の視線が向いてるんだからね。



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