空から落ちてきた12
と言う訳で、冒頭部分に戻る。
「蒼空~晩飯食わせろ~」
ベッドでゴロゴロしながら言うんじゃないわよ。
こいつが来て2週間、ホントに碌な事がない。
3LDKのこのマンション、客間を一室貸し与えたと言うのに、ここに住み始めて一週間でこのあほは、人のベッドに忍び込むようになった。
互いに干渉しないといったくせに、今ではなし崩しの様に私の部屋でほとんどの生活を送ってる・・・こいつ。
まぁ、キス以外はしてこないのだけど、迷惑極まりない。
ベッドはキングサイズなので、離れて寝てはいるものの、朝起きるときっちりこのあほ神様の腕の中に納まってる始末だ。
母親が亡くなって以来、人と一緒に過ごす事の無かった私の温かさを求める心の甘さが、こいつの部屋への侵入を許してしまうと言っても過言じゃない。
決して、このエロ神様には恋愛感情はない。
そして、やつはここに住み始めてすぐに、学校長の意識を操ったのか、神野呂希としてうちのクラスに編入してきた。
まったくもって、色々とけしからん話で。
何が一番面倒って、こいつの女癖の悪さ。
呆れてものが言えないほどなのだ。
この容姿だから、転入早々女子に囲まれた。
これはまぁ、致し方ないにしても。
ロキに色ボケしないのは、親友の咲良とクラスメートの麻美と蜜ぐらいじゃないのだろうか?
この3人は、早くもロキの素行の悪さと性格の悪さを見抜いてる。
このあほは、毎日毎日とっかえひっかえ女の子を食いまくる。
こんな鬼畜が、本当に神様なのかと思わざる負えない。
ロキのお父さん(ファールバウティ)が天界から追放したのも頷ける。
ロキがホントに神様なのかは、住むことが決定してからパソコンで調べてみた。
こいつの説明の通りの名前がずらりと並んだ神様一家。
父親はファールバウティ
母親がラウフェイ
他に兄が2人と義理の兄もいるらしい。
なんとも複雑そうな家庭だ。
まだまだ半信半疑ながらも、信じるしか道は開けない。
ロキが学校に転校して来た初日の私の衝撃は、今でも忘れない。
先生に連れらてやってきた転校生が、うちの白いブレザーを着たロキだったのだから。
椅子から転げ落ちそうになったのは言うまでもない。
完全に青ざめた私は、他人の振りを決め込もうとしたのに、このあほは大きな声で私の名を呼んで、ご丁寧に手まで振ってくれた。
おかげで、学校でさえ私の安住の地は無くなった。
無理やり遠縁の親戚だと皆に言いくるめた。
もうそれしか私に残された道は無かったから。
咄嗟に着いた嘘は、まんまと見破られることなく、今も信じられてる。
家に帰ってから、散々学校では私に関わるなと言ったにも拘らず、こいつは女の子といる時以外、私にべったり付きまとう。
鬱陶しいわ、迷惑だわ。
その上、ロキを気に入ってる女の子からは嫉妬の視線を向けられたり、意味の分からない呼び出しを食らったり。
まぁ、私もこの学校では味方が多い方だから、大して被害は受けてはいないのだけど。
ロキは私を毎日苛々させてくれる。
「なぁ~明日休みだろう~?どっか行こうぜ」
「一人で行け。ってか遊んでる女と行けばいいでしょ」
カリカリとシャープペンを動かす。
確かに明日は土曜日で休みだけど、何が嬉しくてこんな奴と行動しなくちゃいけないのか?
「お前以外の女なら、俺が誘えば皆尻尾振って喜ぶぜ」
「だから、そんな子を誘えばいいじゃん」
ほんとに苛々する。
自分の魅力の出し方をよく知ってるこの男は、エロい視線を送ってくる。
それをヒシヒシと背中に感じながらも、無視して課題をやり続ける。
「お前が良いんだよ。なぁ、いいだろう?」
甘ったるい声でで甘えてくるから質が悪い。
好きな人からのセリフなら、喜んで返事を返すのだが、相手はロキ。
何人に同じようなセリフを吐いてきたのか、このあほは?




