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落ちてきたのは神様  作者:
未来への決断
129/151

未来への決断15


くるくるとシルビィが頭上で回ってる気配がする。

粉は掛かってるんだろうか?

目を瞑ってるからよく分からない。


「蒼空様、そろそろ反応が現れます。目は開けても良いですよ」

シルビィの声に、もう掛け終わったんだと知る。


「うん、分かった」

ゆっくりと目を開けると、銀の粉が私の体の周りにまとわりついてフワフワしていた。

銀の粉に包まれた感覚は特にはない。

手をヒラヒラさせながら銀の粉を見ていたら、全身が急に熱くなってきた。

体の奥から放出される熱はどんどん増えていく。


「なっ、なに? これ」

熱い・・・耐えられない程じゃないけど、熱いんだ。


「蒼空様、もうしばらくの辛抱です。力の全てが出てしまうまでお待ちください」

「うっ・・・」

熱さにボーッとしてしまう意識。

立っていられなくなって、その場にしゃがみこんだ。

荒くなる息、かきむしりたくなるほど背中がムズムズとしてきて。

床に手をついて四つん這いのまま、荒い息を繰り返した。

私、どうなっちゃうの?

苦しい、熱い、怖い。

シルビィを信用していない訳じゃないけど、不安が襲ってくる。


「蒼空様、頑張って。もうすぐです・・・後少し」

シルビィは心配そうな顔で私の周りを飛び回る。

いつしか周囲を取り囲んでいた銀の粉は跡形もなく消えていて。

体中の熱が一気に背中に集まった。


「うっ・・・うぁぁ・・・あぁ・・・」

何かを産み出すような苦しさに声を上げた私は、次の瞬間にバサッと言う大きな影が羽音を耳にした。

えっ? なに・・・。


今まで使った事の無かった回路が頭の中で繋がった感じがして、その場所に意識を集中させると背中の方でバサバサと大きな羽音がした。

ま、まさか、恐る恐る背中を振り返る。

するとそこには大きくて真っ白な立派な羽が私の背中から生えていた。

ギョッと目を見開いた。

服は破れてないのに羽が生えてる。

意識すれば自由自在に動くそれに驚きを隠せない。

 

「蒼空様、おめでとうございます。立派な羽が生えました。こんなに立派でキラキラと輝く羽は主様に匹敵するモノです。これで胸の痣も消えてるはずです」

シルビィはパチパチと手を叩きながら絶賛してる。

いやいや、マジで、私、どうした?

色々突っ込みどころありなんだけど。

一先ず立ち上がる。

さっきまで体に広がってた熱はもうどこにもない。

気分は爽快なぐらいだ。

何て言うのかな、体が軽くなったような洗練されたような、そんな感じ。


「あ、本当だ。痣が無くなってる」

服を引っ張って胸元を見れば胸に浮かんでた契約の印はもうどこにもない。


「蒼空様が持つ力の方がその契約を上回ったのです」

「なるほどね」

ま、無くなったら無くなったで良いけどさ。

てか、取り合えずこの羽よ。

背中に生えてる羽がどんな仕組みか気にかかる。

左右を振り向いたり、手で触ってみたり、バサバサと動かしてみたりする。

その度にキラキラ光る何かが飛ぶ。

なにこれ・・・まさか私ってば大きなティンカーベル。

随分と大きなティンカーベルだな? と笑えた。

今まで無かったはずの羽は私の背中にしっくりくる。

ずっと生えてた様な感覚。

取り合えず・・・姿見で見てみよう。

いそいそと移動する。

そして・・・可愛くない悲鳴を上げる。


「なっ・・・ なんじゃこりゃぁ~」

某探偵も真っ青なぐらい叫んだ。

だって、茶髪のおさげだった私の髪が、腰まである金髪に変化していたんだから。

いやいや・・・誰さ。

髪型まで変わるとかなんなのよ。

しかも眼鏡が見えにくくなってる。

片手で眼鏡を外すと一気に視界は晴れる。


「おぉ~見やすい」

どうやら、視力も回復してるみたい。

いやはや、神様とは便利なものですな。

って、感心してる場合じゃな~い。


「シルビィ、これどう言う事」

背後をフワフワ飛んでいたシルビィを問い詰める。


「どういう事と言われましても、これが蒼空様の本来の姿です」

困り顔でそんな風に返された。

いやいや、もう既に私じゃないよね。

変わった容姿に大きな溜め息をついた。


「マジか・・・」

「蒼空様、心配入りません。蒼空様のオーラは今までと変わる事なく美しく輝いて居ますよ」

そんな事言われてもあんまり嬉しくない。

まぁ、これが本来の姿って言うなら諦めるしか無いけどさ。

出来れば初めに容姿が変わるの教えて欲しかったな。

ガクッと肩を落としてもう一度溜め息をついたのだった。


「では、行きましょう」

シルビィの言葉にクッと歯を食い縛る。

そうだ、目的を果たさなきゃ。


「うん、行こう」

鞄を片手で持つと、羽を大きくひろげて羽ばたかせた。

ふわりと浮く体。

飛び方はどうやら本能的に知ってるみたいね。

シルビィの先導の元、私は星達の輝く夜空に舞い上がった。



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