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落ちてきたのは神様  作者:
未来への決断
118/151

未来への決断4


目を瞑ってから胸に左手を当てた。

時を刻む鼓動は、規則正しく打っていて。

その鼓動に合わせるかのように、呼吸を整えた。

私の望む道。

再びロキと会いたいと。

ゆっくりと目を開けると、私を優しい瞳で見つめるシルビィがいて。

私の言葉だけを待っていてくれる。


「・・・シルビィ」

少し声が震えた。


「・・・はい」

シルビィのしっかりした返事に私は薄く微笑むと、

「話を聞かせて。どんな話でも受け止めるから」

と告げた。


本当は不安に押し潰されてしまいそうだけど。

ロキに近づく道があるのなら、聞かずには居られない。


「はい、お話しします」

目尻を下げたシルビィが優しい声でそう言った。

向けられた真剣なシルビィの瞳に手に汗を握りしめた。

そして、シルビィから語られた事実に驚愕する事になる。

空気の張り詰めたリビング。

煎れたてだった珈琲は、すっかり冷たくなっていて。

話終えたシルビィも、聞いていた私も言葉を発することは出来なくて。

あれか、どうやって家を出たのかも分からない。

でも、気付いたら教室の自分の机に座っていて。

4時間目終了のチャイムに我に返ったのだ。

ざわつく教室、椅子を引く音。


「・・・ひ~め、お昼よ」

私の肩をそう言って叩くのは麻美で。

もう片方の手に持ったお弁当の袋を掲げて見せた。


「あ、う・・・うん」

麻美へと視線を向けて頷いた。


「姫ちゃん、お弁当忘れたのぉ?」

といつもお弁当箱をかけている机の横を覗くのは蜜。


「そ、そう。時間なくてさ」

お弁当を作るどころじゃなかったし。

シルビィの話を聞いて、放心した状態で学校まできた。

まさか、あんな決断が更に待ってるだなんて思ってなかった。


ロキに会うためには、ここにある全てを手離さなければいけないなんて・・・。


「じゃ、学食いく?」

と笑顔で聞いてくる麻美。


「あ・・・ううん。購買でパンを買ってくるよ」

今は食欲もあんまりないし。

軽く食べれるクロワッサンでも買ってこよう。


「じゃ、買いに行こう」

と言ってくれた麻美に、

「蜜と先に屋上に行っててよ」

と返す。

わざわざついて来てもらうのは悪いし。

それに、今は少し一人になりたい気分なんだ。

頭がもうパンクしてしまいそうなの。


「えぇ~ついていくよぉ」

腕にしがみついて拗ねるのは蜜で。


「早くいかないと場所取られちゃうでしょ」

と言い聞かせる。


「でぇもぉ~」

蜜は瞳を潤ませて私を見る。

フフフ・・・可愛すぎるでしょ。

私は立ち上がると麻美を見る。


「麻美、場所取りよろしく」

と告げる。


「了解。ほら、蜜先に行こう」

私の何かを読み取ってくれたらしい麻美は、蜜の腕を掴んだ。


「あ、麻美ちゃん。ひ、姫ちゃん後でね」

蜜は自分の腕を引っ張って歩きだした麻美に困惑するも、振り返って私に手を振った。

そんな蜜に笑顔で手を振り返す。


「また、後でね?」

2人の背中を見送る。

不安そうな蜜の顔に申し訳なく思う。

そして、私の気持ちを察してくれた麻美にも。

でも、今の私は本当にどうしていいのか分からないんだ。

麻美や蜜と離れ離れになるなんて・・・。

ドアを抜けていった2人を見届けてから、私も足を踏み出した。


教室を出て向かうのは購買部。

本当にパンが欲しい訳じゃなかったけど。

今は何かをしていないと不安に押し潰されそうなの。

廊下には沢山の生徒が行き交っていて、私はその中をすり抜けるように歩く。

喧騒の中に居ても、心は自棄に静かで。

なのに、苦しさは私を立ち止まらせようとする。

こんなにも苦しい胸のうちを、どう処理していいのか分からないんだ。

無に成りたいと願ってしまう。



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