表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
落ちてきたのは神様  作者:
空から落ちてきた
10/151

空から落ちてきた9



悔しさに流れ落ちる涙は止まらない。


「あ~もう、泣き止めって」

困った顔をして、私の顔を覗き込む。


「だ・・・だって・・・グズッ」

こんな弱々しのは私じゃないのに、どうしていいか分からない。


「さっきまでの、強気はどうしたよ」

「・・・」

そんな事言われたって知らないわよ。

悔し涙の止め方が分かんない。


「あ~も、よし。しっかり掴まってろよ」

そう言うと、ロキは私を抱き抱えたまま背の高いベランダの柵に飛び乗った。


はっ? なにやってんの。

普通の人間が、私の身長ぐらいの高さの柵に簡単に飛び乗るなんて。

あまりに驚き過ぎて、涙が引っ込んだ。

ロキは私を抱き抱えたままま、余裕の表情で柵に立ってる。

チラリと下を盗み見たら、道路を歩く人達が小さく見えた。


ダメダメダメ・・・落ちたら死んじゃう。

恐怖に体が震え出す。

ロキの体が風でグラッと揺れる。


ヤダ~、まだ死にたくな~い。

私、16年しか生きてないのに、そんなのヤダ~。

固く瞼を閉じて、落ちないようにロキの首に両腕を巻き付けて、必死にしがみついた。


「おっ、泣き止んだな? さぁ、行くぞ」

ロキはそう言って笑うと、ベランダの柵を蹴り上げて体を空中に投げ出した。


ダメ~死んじゃう~~~。

必ず来るであろう衝撃に身を固くした。

でも、いつまで経っても衝撃が私の体に伝わる事は無かった。


「ほら、目、開けてみろよ!」

ロキのそんな言葉に、固く閉じていた瞼をゆっくりと持ち上げる。


「・・・なっ」

目の前に広がるのはロキの顔。

至近距離で見ると、やっぱり整い過ぎてて見惚れてしまった。


違う違う、こんなことしてる場合じゃない。


「おい、しがみついてないで。下を見やがれ」

そう言われて恐る恐る下を見た。


「・・・う、浮いてる」

あまりの出来事に、口をついて出たのはそれだけだった。

人間は驚きすぎると普通の言葉しかでないらしい。


「気持ちいいだろ。空中遊泳だ」

うん・・・確かにふわふわしてて気持ちいい。

それに頬を撫でる風が、どこか懐かしい気がした。


で、でも、どうして浮いてんのよ。


「・・・ど、ど、うして」

言葉を上手く繋げない。


「どうしてって、聞きてぇの?」

ロキがクスッと笑う。

ウンウンと首を縦に数回振る。


「だから神だって言ったじゃねぇか。空ぐらい簡単に飛べるぜ。こんな事も出来るぞ」

奴は私を抱き抱えたまま空中で一回転した。


するな~!

ぐるんと回る視界。


「やめてぇ~、ぎゃ~!」

叫ぶ私に、

「色気ねぇ。つうか、また唇を塞がれてぇの」

ペロリと自分の上唇を舐めるロキ。


「いい、いい。黙ります」

取れるんじゃないかってぐらい首を左右に振った。


「そこまで拒否られると、逆に萌える」

「萌えなくてもいい」

「即答すんなよなぁ、ククク」

ウザい、こいつかなりウザ過ぎる。


「でも、これで信じただろ。俺が力を使える神だって事を」

「・・・」

こんなの経験させられたら、信じるしかないじゃん。

でも、こんな軽そうな奴が神だってのは、腑に落ちない。


・・・ちょっと待って。


「飛べるのに、どうして落ちて来たのよ」

そうよ、初めて会った時、こいつは空から落ちてきたじゃない。


「ああ、その時は力を奪われたままだったから」

「奪われた?」

「そっ、クソ親父に」

憎々しげに顔を歪めるロキ。


「どうして?」

「俺の素行が悪いからって、天界から追放された」

うん、意外にも納得出来ちゃう内容だったわ。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ