表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
遠目に映る各駅停車  作者: 膝野サラ
2/2

後編 あの頃と変わらない初恋のこの人。

私が学校まで通う時に乗る15分間の各駅停車。


私には友達がいない。

中学までは数人の友達はいたのだが、

高校に入って高校デビューというものに失敗し、

未だに友達0人。


そんな学校での居場所がない私は、

この15分間だけ学校などの事をまったく考えず、

窓の外の景色を眺める。

私にとっては一番楽な時間だった。


そしてもう一つ。

私が乗る車両にいつも先に乗っている男の子の事だ。




話は数ヶ月前に戻り、

高校の入学式の日。

まだ時間が早いせいか、

電車の中には思ったほど混んでいなかった。

いろんな制服を着た新入生がちらほらといった感じ。


そして私は電車に乗り、

空いている席に座って、

向かいの席に目をやるとその男の子がいた。


眼鏡をかけてどっちかというと静かな感じの男の子。

その男の子が誰だか私は見た瞬間分かった。


私が5年生から6年生になる前の春休みに、

転校するまで通っていた小学校の同級生だ。



そして私の初恋の人。



「清水くんだ」


そう思わず声に出してしまいそうなほど驚いた。

もう4年ほど会っていない、好きだった人、

いや、今でも好きな人に会えるなんて。


全然変わってないな、清水くん。






私が清水くんを好きになったのは小学2年生の時。

クラスが同じで、

もう一年同じ学校に通っているというのに、

その当時の私は二年生になり、

初めて清水くんの事を知った。


当時から目が悪かったらしく、

眼鏡をいつもかけていて、

頻繁にレンズ汚れを気にして、

服で眼鏡を拭いていた。


私と清水くんは当時たまに喋るくらいの中で、

すごく仲がいいわけでも無かった。


好きになった理由はもう忘れてしまった。

一目惚れだったかもしれないし、

話しているうちに好きになったのかもしれない。


そんな清水くんとは2年生の時以降、

同じクラスになる事も無く、

こんな私に喋りかける勇気などなく、

3年が過ぎようとしていた、

5年生の終わり頃、

私の転校が決まった。

隣町の学校だ。


そして私は最後にと意を決して清水くんに、

告白をする事にした。

面と向かって言うべきだったのだけど、

その勇気は無くて、

でも手紙にすることは出来たから、

清水くんの下駄箱に、

その気持ちを綴った手紙を入れることにした。


しかし返事が返ってくることは無かった。

振られたのか、

何らかの形で無くなったりしてしまったのか、

それは分からなかった。

でも多分私は振られたのだと思う。


こんな事になるのなら、

面と向かって告白し、

面と向かって振られるべきだったと思う。

そっちの方が絶対にスッキリした。


そもそも告白自体するべきじゃなかったのかな、

そう私はいつも考えてしまう。


そして最後の最後まで返事が返ってこないまま、

私は転校した。


転校先の小学校ではそれなりに友達を作り、

結構楽しい小学校生活を送っていた。

人間の記憶とは間抜けなものでその頃には、

あれだけ好きだった清水くんの事も、

ほとんど忘れてしまっていた。


そして中学に入っても、

それなりに友達を作り、

結構楽しい中学校生活を送った。


何度か告白はされたが、

部活や勉強に専念し、

恋愛とは無縁の生活をしていた。


そして私は高校に入り、

今まで通りの学園生活を送ろうとしたのだが、

そこには小中学校の同級生はほとんどおらず、

自分から声をかける事もできず、

声をかけられる事を待ち続けていたら、

いつの間にか私は一人になっていた。


だからこの、

清水くんと一緒にいれるこの時間だけは、

本当に好きだった。




清水くんを見て、

昔の事を思い出したりしていると、

いつも時間が経ち、

清水くんが先に電車から降りて行く。




最近私は思う。

もう気づいてくれなくても、

喋りかけれないままでも、

私の事を忘れていたままでも、

清水くんと一緒にいれるのなら、

私はそれだけでこの時間だけは充分幸せさ。


でもできれば少しでいいから喋ってみたいな。






清水くんが私に気づいて、

私の名前を呼んで喋りかけてくれるのは、

もう少し先のお話。

初の連載前後編小説でした。

そしてちゃんとした女性目線も初めて。

どちらも圧倒的初心者のため、

できが悪ければ申し訳ありませんm(_ _)m

私が平日にいつも乗る、

15分間の各駅停車を舞台に書いてみました。

感想評価お待ちしております。


Twitter→@hizanosara_2525

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ