橋
私の県には有名な自殺の名所があります。
相方が大学生のころ、そのすぐ先のアパートに住んでいました。
赤い橋でしたが、赤が興奮させるのでは、と今は緑の橋になっています。
ある晩、相方のアパートへ泊まりに行くとき、橋を渡るとき違和感がありました。
寒気がするような、吐き気がするような。
なんとなくバックミラーを見てはいけない気がして、急いで橋を渡りました。
駐車場に車を停めると、急いで彼の部屋に飛び込みました。
なんだか寒気もおさまらず、風邪でもひいたんじゃない?と相方に言われましたが、そんな感覚ではありませんでした。
翌朝、早朝、遠いところでパトカーと救急車と消防の音がしました。
いやな予感がして、歩いて橋まで行くと、下の川のほうで、消防と警察がなにかしていました。
ふと橋の真ん中辺りを見やると、チョークで靴の形らしく、書いてありました。
飛び降りないように、二メートルの有刺鉄線があり、下には受け止めるネットもあったにも関わらず飛び降りたようです。
ご冥福を祈りつつその場をあとにしました。
もしかしたら、彼女の最後の念を感じ取っていたのかもしれません。
悲しい出来事でした。