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私は以前公務員だったことがある。非常勤ではなく正社員だ。


この市には子ども相手の施設がある。

そこに配属になり、意気揚々と仕事に取り組んだ。


仕事はうまくいっていた。部下ともうまくやれていたし、周りから頼られている感じがした。


私はここの建物の閉館後の鍵のチェック係になっており、人気のなくなった建物の鍵をすべてチェックして歩いた。


地下には警備室があり、常時三名ほどが勤務に携わっていた。


私は地下の洗濯機にもよく用事があって毎日通っていたが、お世辞にも明るい場所とは言えなかった。

だから、たいていバイトさんを呼んで行く。

しかし、閉館作業はさすがに一人でやらねばならない。


この施設には不思議な点がいくつかあった。


特に四階のホール前のトイレでは、誰もいないのに水が流れたりして少し不気味だった。

でも、それは単にトイレの故障かもしれないと思い、日誌にその旨を書くだけに留まった。


ある日、いつものように閉館作業をしていた。

夕日が橙色の日で、私は遊具がきちんとしまわれているか、鍵がかかっているか確認して歩いていた。

鍵をチャラチャラ回して余裕で確認していった。


四階のホールに差し掛かったとき、またトイレから水が流れる音がした。


館内に残っている人がいないかとトイレの中まで確認に行き、トイレから出てきたときだった。


ホールの扉は大変重たい。

自動ではなくても、閉まることはあり得るが、あり得ないことが起きた。


ホールの扉が自動的に開いていっている。


私は腰を抜かしそうになりながら、悲鳴をあげて階段を駆け降りた。

エレベーターなんて待っていられなかった。


すると警備員のおじさんが、急いで階段を上ってきており、私はホッとして足を緩めた。


警備室には、カメラがいくつも設置してある、その映像を見れるようになっていた。

おじさんは扉が開くのを見て駆けつけてくれたのだ。


おじさんに事務室まで送ってもらうと、

「四階はいろいろあるから……。」

と、これが初めてではない様子。


話を聞くと、鍵のかかっているはずの扉が勝手に開くことは日常茶飯事で、人の気配を感じたりするので、複数員で回るようにしていたそう。


以来閉館作業は、同僚の男性にお願いすることになった。


そのあと異動があったため、どうなったかわからずじまいです。


やはり何かがいたのだろうか……。

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