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泣く桜

作者: kisk

ただ降り(しき)る、陰鬱な春雨(はるさめ)


泣く泣く濡れそぼつ、桜の並木。


和紙は濡れると、色が濃くなる。


そのように、湿気る花びらも、熟れた桃のように濃く映えている。


花が重くなり、心なしか枝が垂れている。


長い雨に半ば諦め、腐る覚悟をしているようである。


傘を差し、暮れる彼等の(もと)(くぐ)ると、同じ悲しみが心に垂れ込めてくる。


胸を打つ、痛き悲しみであり、日に当たることなく(くぼ)みに寄った花びらが、我が子のように(いつく)しまれる。


()く道、()く道に、憐れな桃色が散っている。


土に(まみ)れて、私を見上げている。


風雨に(ざわ)めく桜樹(おうじゅ)は、それに(こく)しているようである。


私も、心で泣いた。


並木を去る頃には、顔が雨に(まみ)れている。

(*´_`)。o (読んでいただき、ありがとうございました)

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― 新着の感想 ―
[良い点] 表現がとても繊細で、文章も綺麗だと思いました。 咲き誇っている桜ではなく、春の雨に打たれ散ったあとの花びらにさえ、そっと心を寄せているところに、作者の痛みと優しさを感じました。
[一言] いいっすね!言い回し、表現共に好きです。
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