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南真白1
優歌と口をきかなくなってから、一週間が経とうとしていた。その間に何度か謝ろうと優歌に声をかけたのだけど、鬼の形相で睨まれると何も言えなくなってしまう。それに謝ったところで、自分の幸せをぶち壊してしまった僕を、決して許してはくれないだろう。
なら一体、どうすれば許してもらえるんだ?
どうすれば、僕は罪から救われるんだ?
そして思考回路は、「どうすれば」から「どうして」へと、次第に変貌を遂げていく。黒い霧が生まれる瞬間だった。
ただ挨拶を交わしただけなのに、どうして僕のせいなんだ?
どうして僕は、こんな恐ろしい顔を持って生まれてきたんだ?
どうして僕は…………生きているんだ?
瀕死の状態だった僕を蘇らせてくれていた『その人』の魔法の言葉は、今にも効力を失いつつあった。暗黒を照らす一筋の光に分厚い雲がさしかかり、徐々に陰りを増していたのだ。
だからこの時、これっぽっちも予想していなかった。この後、僕の人生を百八十度変えてしまう事件が起ころうとしているなんて――




