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『ピーチメン』 ~そしてAUは伝説へ~

作者: 川嶋ラジヲ




昔々、あるところにおじいさんとおばあさんがいました。

おばあさんは川へ洗濯に、おじいさんはおばあさんを見守りにいきました。


おばあさんがおじいさんに見守られつつ洗濯をしていると、川上から大きな桃が流れてきました。

おばあさんは不思議に思いながらも、桃は嫌いだったので放っておきました。

桃は流れていきました。


洗濯が終わり、おばあさんはおじいさんに見守られつつ芝刈りに行きます。

老人とは思えない手さばきで芝を刈っていると、山上の方から大きな桃が転がってきました。

おばあさんは不思議に思いながらも、やっぱり桃は嫌いだったので放っておきました。

桃は転がっていきました。


家に帰り、いつものようにおじいさんとおばあさんは穏やかに、そしていちゃいちゃとすごしていました。すると。


ピンポーン♪


明らかに人の声でした。

勿論この家に呼び鈴なんていう文化はありません。

おばあさんが戸を開けると、足元に『お届け物』と書かれた紙と共に、少し痛んだ桃がありました。


ぴしゃり。


おばあさんは戸を閉めました。

夜になりました。


とんとん。


戸を叩く音がします。

おばあさんが戸を開けると、足元には小さな男の子がいました。まるで生まれたばかりのような小ささでした。

身寄りの無い子供のようだったので、育ててあげることにしました。

『太郎』と名づけました。




太郎がおばあさんとおじいさんの家で暮すようになって2週間が過ぎました。

太郎はすくすくと、早すぎる程の成長を遂げました。

1週間目にはおじいさんの背を追い越し、2週間目にはおばあさんの背を追い越しました。

今ではすっかり立派な青年です。


穏やかな日々が過ぎました。

そんなある日です。


「おっかあ、おら桃が食べたいよう」

理由は、言わずもがな。


おばあさんの目の色が変わった気がしました。

おばあさんは料理中でした。


茶碗が飛んできました。

避けました。


包丁が飛んできました。

ギリギリでした。


漬物石が飛んできました。

無理でした。


太郎が倒れたことでおばあさんは正気に戻ります。

「嗚呼、太郎。いったい誰がこんなことを・・・!!」

貴女です。


おばあさんは太郎を揺さぶりました。

あんまりに揺さぶりすぎて、取れました。


夜になりました。


「おっかあ!おら鬼退治に行くよ!!!」

太郎は目を覚ますなり突然、上半身を起こしてそう叫びました。


おじいさんはおろおろと心配し、止めました。

おばあさんはきっと頭がおかしくなったんだと思い、隣町の精神科に連れて行くことにしました。






■次回予告■

「ぼくはヘンじゃない!!!」

突然標準語をしゃべりだす太郎。

おばあさんの財布を握り締め、

太郎は鬼ヶ島に向かう・・・?!!!




おしまい。

中学時代の遺作すぎてどうしたらいいやらと思ってたんですが、ふと目に入ったので投稿。解釈は想像におまかせします。




※いらない補足。

おじいさんは昔結構なイケメンで当時から美人だったおばあさんと恋愛結婚、つつましやかでラブラブな生活を送り年をとった末、かわいい二頭身サイズまで縮んだおじいさんをおばあさんが養っている状態。

おばあさんは髪が白髪になったものの今もなお若さと美しさを保ち、変わらずつつましやかにおじいさんとラブラブ生活。そんなある日の出来事でした。

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