私の生活が、、、
「ふぅ、、、おはよう。エマ、水。」
返事がない
「、、、エマ?」
しんとした空気に、眉をひそめる。仕方なく自分で取ろうと身を起こした瞬間、ゴンッ。
「いった……」
額を押さえて見上げた先には、やけに近い天井があった。
違和感に眉を寄せ、部屋をぐるりと見渡す。
欠けた机、薄い布切れのような寝具。――どれも、見覚えがない。
「和子、起きたの?おはよう。ご飯できてるわよ」
味噌汁のいい香りが漂ってきた。味噌汁の匂いに誘われるように、私はそっと器を手に取った。高級な料理とは比べようもないのに、なぜか胸の奥が落ち着く。安心する味だった。
味噌汁の湯気を見つめているうちに、知らないはずの記憶が浮かんでくる。
和子。四人兄弟の末っ子。十歳。
子守の仕事は、私の役目。
子どもが働くのは、この町では珍しくもなかった。
「和子、もう家を出る時間だよ。遅れると困るでし
ょ」
椀を片づけながら、母がそう言った。
手に取ったのは、色の抜けた布切れのような服だった。指先が一瞬、止まる。こんなものを身につける日が来るなんて。私は目をそらしながら、私はその服に袖を通す。それ以外の選択肢はなかった。
準備を終えると、家を出た。
藁でできた家が、道沿いにずらりと並んでいた。
見渡しても、石造りの建物は一つもない。
色の抜けた布をまとった人たちが、仕事場へ向かって歩いていた。誰も、華やかな色を身につけてはいない。
五歳くらいの子どもが、道端にしゃがみこみ、捨てられたものに手を伸ばしている。ここでは、珍しい光景じゃない。私は視線を前に戻し、そのまま仕事場へ向かった。
先ほどとは、まるで違う風景が広がっていた。
色鮮やかな家並みの中を、派手な服を着た人々が行き交っている。その足元を、地味な布を着た者たちが黙って歩いていた。
圧倒されるほど大きな館が、目の前に現れた。
かつて見慣れていたはずなのに、今は正面から入ることもできない。私は裏から、そっと中へ入った。




