第27話 『魔物たちの饗宴』
氷の扉の向こうには、予想外の光景が広がっていた。
大きな洞窟。
そこには様々な種族の魔物たちが、飢えた様子で佇んでいる。
角の生えた巨人のような魔物、翼を持つ獣のような存在、
そして影のように揺らめく得体の知れない魔物まで。
「これは...」
アリシアが息を呑む。
「歓迎するぞ、料理人たちよ」
白狼が現れた。
「ここにいる者たちは皆、美食の魔狼の城に仕える魔物たち。常に強大な魔力を必要とし、それゆえ常に飢えている」
「彼らを満足させる料理を作れるか?」
智也は魔物たちの様子を観察する。
確かに強大な魔力を持っているが、その魔力は不安定だ。
「分かりました」
智也が決意を固める。
「皆さん、協力してください」
一行は手分けして調理を始めた。
まず、影喰らいの助言を借りて、魔物たちの特性を理解する。
角の生えた魔物は力の魔力を、
翼を持つ魔物は風の魔力を、
影のような魔物は闇の魔力を好む。
「では、それぞれの特性に合わせて...」
エルフの料理人は風の力を込めた軽やかな料理を。
ドワーフの料理人は大地の力強さを秘めた料理を。
影喰らいは闇の安らぎを感じる料理を。
智也は全ての料理を統括し、和食の技法で調和を整える。
出汁の旨味で魔力を安定させ、醤油と味醂で深い味わいを作り出す。
さくらは重箱の力を使って、料理を最高の状態で供する。
重箱から放たれる光は、料理の魔力を増幅させた。
魔物たちは初め警戒していたが、
料理の香りに誘われるように、少しずつ近づいてくる。
「この香り...」
「懐かしい味がする...」
「心が落ち着く...」
魔物たちの声が、洞窟に響き渡る。
料理を口にした魔物たちの魔力が、徐々に安定していく。
その姿は凶暴な魔物というより、ゆったりとした食事を楽しむ賓客のようだった。
「見事」
白狼が満足げに告げる。
「第二の試練、合格だ。魔物たちの本質を理解し、その心まで満たす料理を作り上げた」




