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第26話 『魔狼の使者』

霜嵐の回廊を半分ほど進んだ頃、不思議な出会いがあった。

突如、吹雪の中から一匹の白狼が現れた。

しかし、この狼は普通の獣ではなかった。

「料理人たちよ」

狼が人の言葉で話し始めた。

「我が主、美食の魔狼が言付けを託しました」

一同が息を呑む。

これが噂の美食の魔狼の使者か。

「包丁の太刀を手に入れたいのならば、三つの試練を乗り越えよ」

白狼は三つの条件を告げた。

「第一の試練、極寒の食材で命を繋ぐ料理を作れ」

「第二の試練、飢えた魔物たちを満足させる料理を作れ」

「そして第三の試練、我が主の舌を唸らせる極上の一品を作れ」

「試練を受けると言うのなら、大迷宮への道を開こう」

智也たちは顔を見合わせた。

これは単なる力比べではない。

料理人としての真価が問われる試練だ。

「受けましょう」

智也が答えた。

白狼は満足げに頷くと、吹雪の中に消えていった。

直後、霜嵐が薄れ始め、前方に新たな道が開けていく。

第一の試練に向けて、一行は準備を始めた。

極寒の地で採れる食材だけで、命を繋ぐ料理を作らねばならない。

「見てください!」

リリアが叫んだ。

雪の下から、青白い茎が顔を出している。

「氷雪草」という珍しい植物だ。

極寒でしか育たない野草で、強い生命力を持つという。

ドワーフの料理人は、凍った湖の下で越冬する「氷魚」を見つけ出した。

エルフの料理人は、風に乗って運ばれてくる「雪花の実」を採取する。

「これは...」

大将が雪の結晶のような形をした茸を発見した。

「霜結茸」

極寒の地に生える神秘的な茸で、体を温める効果があるという。

材料が揃い、調理が始まった。

智也は氷魚のスープを仕込む。

霜結茸の旨味と氷雪草の生命力を活かした、温かな一品だ。

さくらは雪花の実を使ったデザートを担当。

重箱に盛られた白銀の菓子は、まるで冬の芸術品のよう。

リリアたちは氷雪草を使った副菜を作る。

苦味を活かしながら、香ばしく仕上げていく。

出来上がった料理を、白狼が現れた場所に供えた。

すると...

地面が震動し、巨大な氷の扉が姿を現す。

「第一の試練、合格」

どこからともなく、白狼の声が響いた。

「命を繋ぐとは、単に生きるためだけではない。心も満たされねばならぬ。その真意を理解した料理だ」

一行は安堵の吐息をつく。

しかし、これは始まりに過ぎない。

「さあ、次は飢えた魔物たちの元へ」

大将が前を指さす。

氷の扉の向こうには、無数の魔物の気配が渦巻いていた。

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