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第24話 『旅路の味わい』
北の大地は、まだ見ぬ食材の宝庫だった。
「あれは!」
エルフの料理人が叫ぶ。
「風霜茸!」
岩陰に生える銀色の茸。
強風と寒気の中でしか育たない、珍しい食材だ。
「こちらには岩塩の結晶が...」
ドワーフの料理人も、次々と発見を重ねる。
旅の道中、一行は新しい食材と技法を学んでいった。
夜になると、皆で料理を作り、知識を共有する。
エルフの風を使った薫製技法、ドワーフの岩塩熟成法、影喰らいの闇の調理法...
さくらも、重箱の力を少しずつ理解し始めていた。
「不思議です。料理を盛り付けるとき、まるで食材が語りかけてくるみたい」
「それが神器の力だ」
大将が説明する。
「食材の声を聞き、最高の形で表現する。それが料理人の使命でもある」
旅は順調に進んでいた。
しかし、ある日...
「この先が『霜嵐の回廊』です」
案内役のドワーフが警告する。
「強烈な寒気と風が吹き荒れる難所。多くの冒険者が引き返す場所です」
「でも、ここを超えなければ」
智也が前を見据える。
「大迷宮にはたどり着けない」
「私にも、できることがあるはず...」
さくらが重箱を強く握りしめる。
その時、重箱が微かに輝き始めた。
「これは...」
重箱の中から、温かな光が漏れ出す。
まるで、次の展開を示唆するかのように。




