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第20話 『思いがけない再会』
研究会の設立から一ヶ月後。
『まかない亭』に、一人の旅人が訪れた。
「い、いらっしゃいま...」
智也の声が途切れた。
そこに立っていたのは...
かつて東京で、智也が修行していた定食屋の大将だった。
「よう、智也。元気にやってるか」
「ま、まさか...大将?」
「ああ。実はな、私も20年前に異世界に来たんだ」
二人は店の奥で、長い話をすることになった。
大将は語る。
20年前、彼も突然この世界に来たのだと。
そして各地を旅しながら、料理の可能性を追求してきた。
「智也、お前の評判は色々な所で聞いていたよ」
大将は穏やかに微笑む。
「『まかない亭』と『星風亭』。二つの店で、料理の新しい道を切り開いている。それに、世界料理魔法研究会まで設立したと」
「大将...」
「私からも、大切な話がある」
大将は真剣な表情になった。
「実は、この世界には『料理の神器』と呼ばれる伝説の調理器具があるんだ。世界中に五つ...」
その時、店の入り口の鈴が鳴った。
「すみません、開店時間前なのですが...」
智也が声をかけようとして、また言葉を失った。
そこには...日本の和食器を抱えた、小柄な少女が立っていた。
「あの、私...日本から来たばかりで...」
大将が静かに呟いた。
「始まったようだな」




