第14話 『コンクール開始』
王都最大の調理場に、各国から集まった料理人たちが集結していた。
「すごい...」
リリアが息を呑む。
エルフの国から来た料理人は、風を操って食材を切る。
ドワーフの料理人は、大地の力で食材を熟成させている。
砂漠の国からの参加者は、太陽の魔力で料理を仕上げていく。
「緊張するね...」
ガルドが手に持った包丁が微かに震えている。
「皆さん、聞いてください」
智也が『星風亭』のメンバーを集めた。
「これは、誰かと戦うための場所ではありません。私たちの料理を、誇りを持って披露する場所です」
生徒たちの表情が、少し和らいだ。
審査員席には、カイル・フォン・ヴァイスハルトの姿。
そして...驚いたことに、影喰らいもいた。
「影喰らいのマルクス様は、異界の料理に関する最高権威です」
アリシアが小声で説明する。
開会の鐘が鳴り、コンクールが始まった。
まず『星風亭』の部。
生徒たちが息の合った動きを見せる。
リリアの「四季の星霜菓子」は、食べる度に季節の移ろいを感じられる一品に仕上がった。春には桜が舞い、夏には蛍が光り、秋には紅葉が散り、冬には雪が降る...まるで一年を味わうような体験だ。
ガルドの「大地の恵み麺」からは、大地の力強さと優しさが伝わってくる。麺を啜ると、体に活力が満ちていくのを感じる。
審査員たちは、一つ一つの料理に真剣な表情で向き合っていく。
そして『まかない亭』の番。
智也は深く息を吸い、包丁を握った。
「一汁三菜の魔法御膳」
今までの全てを込めた一品だ。
出汁は月光茸と人魚の髪を合わせて取り、味噌には土霊の恵みを加えた。
焼き魚は火竜の炎で焼き上げ、煮物には時の砂を使って旨みを凝縮。
和え物には妖精の露で育った山菜を使用した。
全ては和食の基本に則りながら、この世界ならではの魔法を活かしている。
「これは...」
カイルが目を見開いた。
影喰らいのローブからは、虹色の光が漏れ始めた。
今までに見たことのない反応だ。




