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第13話 『準備と決意』

コンクールまで一週間。

両店での準備は佳境を迎えていた。

『星風亭』では、生徒たちが最後の調整に追われている。

「リリア、その魔力の注ぎ方は違うわ」

「ガルド、麺の硬さがまだ安定していないわよ」

アリシアが厳しく指導する。

「先生...緊張で手が震えます」

リリアが不安そうな表情を浮かべる。

「大丈夫」

智也は優しく微笑んだ。

「君たちの料理には、確かな想いが込められている。それが一番大切なんだ」

一方の『まかない亭』では、影喰らいが訪れていた。

「新しい...料理?」

「ええ、コンクール用のメニューです。よければ、試食していただけませんか?」

影喰らいは黙って頷いた。

一汁三菜の献立。

だしの効いた味噌汁、焼き魚、煮物、そして和え物。

それぞれに異世界の魔法食材を使い、かつ和食の本質は保ったまま。

「この味は...」

影喰らいのローブから漏れる光が、温かな金色に変化する。

「故郷を...思い出す」

その言葉に、智也は驚いた。

影喰らいにも、故郷があるのだろうか。

「私たちも...遠い昔に、別の世界から来たのです」

その夜、智也は改めてメニューを見直した。

和食の真髄とは何か。

異世界の魔法とどう調和させるべきか。

答えは、既に目の前にあったのかもしれない。

故郷を想い、新しい地で生きる。

その想いを、料理に込めること。

コンクールまであと少し。

智也は、自分の料理に込める想いを、より一層強く感じていた。

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