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ライフ  作者: 道野ハル
オウド国Ⅱ
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憧れ



―――コツッ、コツッ、コツッ



 王の間を出た男は興奮していた。自分の想いが彼らに通じ、晩餐会に参加してもらえることになったからだ。


「あ!」


 階段を降りきったところでこちらに近付いてくる人影を捉えた。男は咄嗟に壁に寄り、深く頭を下げた。



―――コツ、コツ……コツ



 足音が止まる。同時に苦笑交じりの吐息が聞こえた。


「顔を上げろ。お前は今、王の代理なのだぞ」

「!あ、はい!!」


 慌てて頭を上げる。目の前の人物の目元が笑っていることを確認し、男は安堵した。目の前の――宰相は、独特の低く深い声で男に話し掛けてきた。


「彼らの報告はどうだ」

「あ、はい!素晴らしい情報を手に入れました!!一刻も早くエポナ様にっ」

「落ち着きなさい……。わかった、これからゆっくり話を聞こう」

「はいっ!」


 静かに笑いながら宰相は歩き出した。



―――コツ、コツ



 男はその後ろ姿をぼんやりと眺めた。


「……」


 寡黙で鋭い瞳を持つ宰相は周囲から恐れられている。自分もそうだった。でも、今は違う。宰相は広くて優しい目で物事を見ている。こうやって笑うこともある。いつしか自分の憧れになっていた。


「いつまでそこに立っているつもりだ、置いて行くぞ」

「!あっ」



―――タタッ



 慌てて駆け出し、その背中に呼びかける。


「待ってください、ゴデチア宰相っ!」




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