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長袖
―――ピチチッ
―――チュンチュンッ
『あれ?』
「なに」
さわやかな朝の草原で、私は奇妙なものを見た。
『何してんの?』
「なにが」
『何でイオリさんの羽織着てるの?』
出会った時からずっと半袖を着ていたラルフがイオリさんの羽織を羽織っていた。
「さむいから」
『えっ、さむっ!?』
寒いとかあるの!?年中半袖短パンでも大丈夫な人種だと思ってたけど……。意外とデリケート?いや、でも……
『……別に寒くなくない?』
「タナカはいいよね。肉があ」
『黙れ』
「ほめてるのに」
100%悪意だろ。
「僕は、女の子はちょっとぽっちゃりしてるくらいが丁度いいと思うよ?」
『!』
いつのまにか私とラルフの間にノベルさんが立っていた。
「左様!肉がついている方が寒さを防げて便利だからな!!」
「おい、話戻ってんぞ」
「さ!今日はオウド国に入国するぞ、これで野宿ともオサラバだ!!」
「無視か」
―――ザッ!、ザッ!
ユラさんが草原の中をズンズン歩き出す。
「……行くか」
『……はい』
イオリさんが気の毒そうな目で私を見る。その視線が痛い。ああ、なんで朝からこんなズタボロにされなきゃならないんだ……。
「ふあ〜」
『……』
ラルフに話しかける時は細心の注意を払おう……。




