返事
「総員、前進」
―――カシャン、カシャン
―――ザクッ、ザクッ……
ラシュナを先頭に囚人達は再び進み始めた。
「……」
列の後方にいたケビンは、そっと背後を振り返った。
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―――ザクッ、ザクッ……
―――すっ……
「うん?」
「!」
居た。深い茶色の瞳を持つ、金髪の少年……
「え、なに?」
「え……」
自分から見たのだけれど、何と答えればいいのか分からない……。でも、どうしても聞いてみたいことがあった。
「……き、きみは会えたのか?」
「は?」
「その……手を握ってくれる、人に……!」
―――ザクッ、ザクッ……
列はゆっくり進む。しかし確実に少年から遠ざかっていく。少年は無表情で、何を考えているのか分からない。
「会えたよ」
「!!」
「あとから気付いたけど」
「え?」
一瞬、彼がひどく悲しげな顔をしたように見えた。しかしそう思った次の瞬間には、また涼しい顔に戻っていた。
……
そういえば、命を助けてもらったのにまだお礼を言っていなかった。
「あ、あの時はありがとう……!」
「……ああ」
そう言うと、なぜか少年は下を向いた。
―――……スッ
そしてほんの少し顔を上げると、目を伏せたままで言った。
「どういたしまして」
彼は、何を考えているのだろう。
「……げ、元気で!」
何か声を掛けたいと思い咄嗟に出たのがこれだった。なんの気休めにもならない言葉だ。しかし、
「アンタもね」
「!」
そう口にした少年は、先ほどより少しだけ顔を上げていた。




