ある朝
朝。
カタス国、シンイ隊舎。
―――タタタッ
「(一体どこにっ……)」
自室にも食堂にもいない。という事は、もうシンイ廷に向かったのだろうか?出来るなら、早く確認したい……
―――タッ
「!、キヨズミ隊長!!」
「うん?」
廊下の角を曲がった所でその後ろ姿を見つけた。思い切って声を掛けると、隊長はいつものように、無駄のない動きでこちらを振り向いた。
「やあ、ソラノ君。今日も麗しいな」
「……」
特に変わった様子はない……。でも、だからといって安心出来る人ではない。私は息を吐いて、努めて冷静に訊ねた。
「第六班を呼び戻したという話は、本当ですか」
「ああ」
「……例の件のために?」
「その通りだ」
間髪を入れずに答えが返ってきた――ああ、決めてしまったんだ。もうきっと何を言っても届かない。
「……彼らは、いつ戻ってくるのですか」
「昼頃には着くんじゃないか?」
「畏まりました。部屋の手配をしておきます」
「頼んだよ」
―――クルッ、コツ、コツ、コツ……コツ
「ああ、そうだ」
「?」
ふいに、隊長が立ち止まった。自分から止まるなんて珍しい……。不思議に思っていると、隊長は背中を向けたまま少しおどけた口調で言った。
「なんと、異星人も一緒だそうだ」
「!!、異星人ですか!?」
「何というか、これが神の思し召しというやつなのかね」
「……ええ」
「諸々頼んだよ」
―――コツ、コツ、コツ……
「……」
それだけ言うと、隊長は広い歩幅で歩き出した。もうその背中は止まらなかった。