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拳
夜、アメリア城。王女の寝室。
「そうか。VQ地区に入ったか」
「はい」
余計な装飾を省いたシンプルな部屋で、ラシュナはクロトから今日の報告を受けていた。
「彼らは長くて一週間の滞在だと」
「丁度よい」
「一週間以内に動かれるのですか」
「ああ、早いに越したことはない」
ラシュナは膝の上で小さく拳を握った。
「引き続きよろしく頼む」
「畏まりました」
―――……パタン
「……」
“お前には分からないよ”
“生まれたときから違うんだ”
―――グッ
顎を引き、暗い窓の外を見つめた。




