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穏やかな朝Ⅰ
―――ピチチチッ
―――チュンチュンッ
「……ろ、」
ん?
「……タナカ、」
呼ばれてる?いや、でも寝足りないから、もうひと眠り……
―――バサーッ!
「起きろっつてんだろうがぁぁぁ!!」
『ぎいゃぁぁぁぁぁ!!!』
容赦なく布団を剝ぎ取られる。慌てて起き上がると――イオリさんの顔(怒)が眼前にあった。
「てめぇ、何十回起こせば起きんだよ……?」
『そ、そんなに起こされました……?』
ヤクザのように詰め寄ってくる。……やっぱり恐い。
『す、すいません!昨日……いや今日?寝るの遅かったから、もうちょっと寝てた方がいいのかな?って脳が勝手に判断したみたいで!!』
「……まあ、確かに遅かったからな」
『ですよね!仕方な』
「俺とユラは起きたけどな」
『……エライですよね』
「ああ」
そう言うと、イオリさんは息を吐いて口元を緩めた。
「今起きねえと、食い損ねるぞ」
『!それはっ』
「嫌だったら早くしろ」
かすかに微笑むと、イオリさんは踵を返して部屋を出て行った。
―――パタン
―――……
……静かだ。ベッドに座ったまま辺りを見回す。木製の床、花瓶の置いてある机、窓から入る朝の光。
昨晩、あの丘の上にいた時は、こんな平和な朝を迎えることが出来るなんて思ってもみなかった……。




