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ライフ  作者: 道野ハル
アメリア国[前篇]
61/162

誰か



―――ドンッ、ドドドドッ


―――ドォォォォォンッ



「な、なんの音だっ?」

「一体なにが起こってるんだ!?」


 軍人が去って暫くすると、外から大砲の音がした。あまりの異常事態に、みな不安を隠せない。


「さっきの軍人は何をしてたんだ!?」

「なぜ、看守が来ない……」

「もしかして俺たち以外、誰も居ないんじゃないか?」

「……」


 動揺する男達と同じように、ケビンも嫌な予感がしていた。自分達の知らないところで、大きな何かが動き出しているような……



―――ドォォォン



「「「「「!?」」」」」


 突然、廊下の奥から爆発音が聞こえた。


「なっ、なんなんだっ!?」

「看守はどこだ!!何が起こってる!?」

「誰か、誰かいないのかっ?」


 檻の中は騒然とした。不安が一気に高まる。



―――ブワッ!!



「あ、あれはっ」

「!、煙だ!!」


 目の前の通路に灰色の煙が流れてきた。



―――ダダッ



「皆の者、よく聞け!」

「「「「「!」」」」」


 煙の中から、一人の看守が現れる。


「軍の要請で収容所内で兵器の実験をしていたのだが、手違いがあり爆発が起こった!」

「「「「「!!」」」」」

「緊急事態のため、今から諸君らを釈放する!ここを出たら山側へ逃げろ!街側は誘爆の可能性があるから危険だ!わかったな!!」



―――ガチャッ



「さあ、早く出ろ!」

「ひっ、ひぃぃぃっ!!」

「に、逃げろ!!」

「おい、早く行けよっ!!」


 鍵が開くや否や、男達は我先にと走り出した。その様子を見届けると、看守はどこかへ去って行った。


 ケビンも腰を上げる。彼らと同じように走って牢屋から出ようとしたその時



―――ドンッ!



 狭い出口で、他の者とぶつかった。


「あ……すまな……」

「どけよ!このグズ!!」

「!……」



 “お前がいなけりゃ、こんな苦労しなかったのに”


 “死ぬなら一人で死になさいよ”



 足が、止まった。


「うわっ、すごい煙だ!!」

「急げ!急げ!!」



―――バタバタバタッ



 頭の中が熱い。


 周りの音が遠退いていく。


 苦しい、苦しい。


 助けてくれ、誰か……


 ……


 ……


 でも 知っている


 そんな“誰か”はどこにもいない




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