誰か
―――ドンッ、ドドドドッ
―――ドォォォォォンッ
「な、なんの音だっ?」
「一体なにが起こってるんだ!?」
軍人が去って暫くすると、外から大砲の音がした。あまりの異常事態に、みな不安を隠せない。
「さっきの軍人は何をしてたんだ!?」
「なぜ、看守が来ない……」
「もしかして俺たち以外、誰も居ないんじゃないか?」
「……」
動揺する男達と同じように、ケビンも嫌な予感がしていた。自分達の知らないところで、大きな何かが動き出しているような……
―――ドォォォン
「「「「「!?」」」」」
突然、廊下の奥から爆発音が聞こえた。
「なっ、なんなんだっ!?」
「看守はどこだ!!何が起こってる!?」
「誰か、誰かいないのかっ?」
檻の中は騒然とした。不安が一気に高まる。
―――ブワッ!!
「あ、あれはっ」
「!、煙だ!!」
目の前の通路に灰色の煙が流れてきた。
―――ダダッ
「皆の者、よく聞け!」
「「「「「!」」」」」
煙の中から、一人の看守が現れる。
「軍の要請で収容所内で兵器の実験をしていたのだが、手違いがあり爆発が起こった!」
「「「「「!!」」」」」
「緊急事態のため、今から諸君らを釈放する!ここを出たら山側へ逃げろ!街側は誘爆の可能性があるから危険だ!わかったな!!」
―――ガチャッ
「さあ、早く出ろ!」
「ひっ、ひぃぃぃっ!!」
「に、逃げろ!!」
「おい、早く行けよっ!!」
鍵が開くや否や、男達は我先にと走り出した。その様子を見届けると、看守はどこかへ去って行った。
ケビンも腰を上げる。彼らと同じように走って牢屋から出ようとしたその時
―――ドンッ!
狭い出口で、他の者とぶつかった。
「あ……すまな……」
「どけよ!このグズ!!」
「!……」
“お前がいなけりゃ、こんな苦労しなかったのに”
“死ぬなら一人で死になさいよ”
足が、止まった。
「うわっ、すごい煙だ!!」
「急げ!急げ!!」
―――バタバタバタッ
頭の中が熱い。
周りの音が遠退いていく。
苦しい、苦しい。
助けてくれ、誰か……
……
……
でも 知っている
そんな“誰か”はどこにもいない




