作戦会議
囚人さんたちを逃すため、私たちは早速話し合いを始めた。
「外はどう?」
「ああ、お前らの帰りが遅いんで、ここに来ようとしたんだが……街から丘に上がる道は、アメリア軍が封鎖してた」
『!』
「妙だと思い、イオリと山側に廻り、ここへ来たのだ。収容所の周りはアメリア軍が慌てた様子で走り回っていた。暫くすると多くの者が街の方へ下り始めたため、隙をみて中に侵入したのだ」
イオリさんとユラさんが、ラルフの言葉を待つように黙る。ラルフは静かな瞳で口を開いた。
「王が、ここのヤツらを全滅させようとしてる」
「「!!」」
「爆弾が置きおわったら合図があって、40分後に、ここは爆発するみたい」
「……となると、その40分の間に、全員を脱出させるということだな?」
「うん」
「囚人の牢屋は把握してんのか」
「掃除してたからね」
『(私がね)』
「となると、問題は如何にして多くの囚人を速やかに外に出すか、ということだな」
「うん」
「どう誘導するかだな。俺たちの言うことを素直に聞くとも思えねえ……」
『あ』
「「「ん?」」」
三人がこちらを振り返った。
「どうしたのだ、タナカ殿?」
『あ、いや、看守のコスプレすれば……』
「「「……こすぷれ??」」」
『や、えっと……ふ、扮装?あれ着れば、それっぽく見えるんじゃないですかね!?』
私は慌てて、中央監視室の壁に掛けられた看守の制服を指した。
「「「!!」」」
三人の目が丸くなる。
「タナカ殿……」
「お前のことなめてたわ……」
「はじめて役に立った」
『ど、どうも……』
褒められてる?けなされてる?
「では、囚人たちに面が割れていない俺とイオリが扮するとして……なんと言って逃がすのがよいか?」
「うーん」
「混乱させるのもよくねえが、ある程度の危機感があったほうが素早く動きそうだな……」
『な、なんかの実験が失敗しちゃったとか?』
「「「!!」」」
再び三人が私を見た。
『あ、えっと、なんかこの施設のどこかで軍が実験をしてたんだけど失敗しちゃって、もうすぐ爆発するので逃げて下さい、みたいな?』
「「「……」」」
三人の目がパチクリしてる。
「タナカ殿……」
「お前、天才か?」
「すごい妄想だね」
『あ、ありがとうございます?』
この星にきて、一番尊敬(?)された瞬間かもしれない。
「しかし、実験に失敗したというのであれば、こう、なんかそれらしい効果が必要ではないか?」
「たとえば?」
「うむ、音とか煙とか……」
「それもそうな」
「……」
「……」
「……」
三人がスッと私を見た。
『え……』
「「「……」」」
『いや、すいません、分からないです』
さすがに無理だ。
「あ」
「?どうしたイオリ」
「お前、あれ持ってるか」
「あれとは?」
「武器商人から貰ったやつだよ」
「!!」
ユラさんがハッとしてポシェットを探る。そして、
―――バッ!
なかから丸い玉を取り出した。
「煙玉だっ!!」
「『けむりだま?』」
なんなんだろう?疑問符を浮かべてると、ユラさんが胸を張って私とラルフに言った。
「街で会った武器商人が俺の鳥獣愛団子に(以下略)」
『!!』
「おもしろいね」
「これで問題ねえな」
話がまとまりかけたその時
―――ドンッ、ドドドドッ
―――ドォォォォォンッ
「「『!!』」」
外から、変わった大砲の音が聞こえた。
「……今のが合図のようだな」
「ラルフ、牢屋の場所教えろ」
イオリさんとユラさんは制服に袖を通しながら、牢屋の場所を確認した。
―――ダッ
―――ダダッ
そして着替えが終わると、別々の牢に向かって走って行った。




