50/162
影
オウド城、執務室。
―――コンコン
「ロレンス様、戻りました」
「入ってくれ」
ロレンスは手元にある紙を伏せて、顔を上げた。
―――ガチャッ
「報告致します。カタス国とジミニヤ国の方々のご尽力により、怪我人はいるものの、敵、味方、共に死者は出ておりません」
「!……そうか」
ほっと胸を撫で下ろす。
「現在、立て籠もり犯の取り調べを行なっております。が……」
「?、どうかしたのか」
部下の様子に不安を覚えるロレンス。彼は困惑した瞳をロレンスに向けた。
「犯人たちは……幾つかの爆弾を所持しておりました」
「!、個人で爆発物を製造していたということか……」
「あの、それが……」
「?」
「残骸を調べたところ……我が国で製造できるようなものではなく……」
「!!」
「犯人たちは、“爆弾はある日突然、自分たちのもとに送られてきた”と言っております……」
「……わかった。ありがとう」
「失礼致します」
―――バタン
「……」
他国が、我が国を内側から崩そうとしている。そう考えるのが妥当か。
―――ヒラッ
ロレンスは伏せていた紙――地図を翻し、再び眺めた。
……今は国内よりも外に目を向けるべき、か。
―――スッ……
―――カチャリ
地図を鍵付きの引き出しに仕舞い、青い瞳を閉じた。




