表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ライフ  作者: 道野ハル
オウド国
49/162

伸ばした手



----

--------




―――トンッ



 茂みの中に降り立った。



―――ゴォォォォ


―――パチパチパチッ



 上を見る。さっきまでいた部屋が、夥しい炎に包まれていた。



「イオリ、手」

「!、わりい」


 慌てて手を離す。……また、こいつに助けられた。


「……やっぱ、来てたんだな」

「うん」


 そう答えると、ラルフは背中を向けて歩き出した。そのまま何処かへ行くのかと思ったが、少し離れたところで奴は足を止めた。


「イオリ」

「?なんだ」

「ごめんね」


 ……


 ……


 ……息が詰まった。


 こいつに謝られたのは初めてだ。なにを謝ったんだ……?俺をここに来させたことか?こんなことになるなんて思わなかったってことか?確かに今回は思ってた以上に危険だった。けれど……


「……謝んな」


 お前にそんなこと言われたくない。そんなふうに言われたくない。俺は深く息を吸った。


「全員助かった。お前のお陰で俺も助かった。それでいいじゃねえか」

「うん」


 ラルフは再び歩き出した。白い背中が遠ざかる。




――――ガサガサッ



「!」


 ふと、背後の茂みが揺れた。



―――ガサッ



「!あ、あなたはカタス国の!!」

「!」


 オウド軍の兵だった。


「お怪我はありませんか!?」

「ああ……お前達は?」

「お陰様で!まもなく消火活動が開始されます、どうぞこちらへ!」


 兵に案内され、白いテントが張られた場所へ移動する。テントの中にはタナカがいた。


『!!』

「タナカ、無事だっ」

『や……わ……うそ……』

「?どうし」

『い、い、生きててよかったでずぅ゛ぅ゛ぅ゛っ』

「!」


 堰を切ったようにタナカが泣く。どうすればいいのか、何を言えば落ち着かせることができるのか……分からない。


 戸惑いながら、小さな肩に手を伸ばした。



―――ポン、ポン……



 何もできない。気の利いた言葉も言えない。タナカにも、あいつにも。


『う゛っ……う゛っ……』

「……」


 でも



“いまのイオリなら大丈夫だよ、たぶん”



 ……きっと、俺に出来ることはまだあるはずだ。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ