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雨の記憶
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―――ザァァァァ
―――パラッ、パララッ
「……く……そっ……」
容赦なく降りつける雨が崖ぶちを削る。下は深い谷。この手が離れれば全て終わりだ。俺は、こんなところで終わるのか……。
「イオリ」
「!」
見上げると、金髪野郎がいた。奴は表情のない顔で、俺に手を伸ばした。
「……ってめえの手なんか借りるかっ」
「落ちるよ?」
「……」
「おいしょっ」
―――グイッ
―――ドサッ
背中に地面を感じる。空からは、相変わらず冷たい雨が降りしきる。
「くそ……くそっ……」
「……」
悔しくて死にそうだ。いや、違う、これは……絶望だ。自分に対する絶望。俺は、こんな人間だったのか。こんな何も無い人間だったのか。
―――ザァァァ
―――ザァァァ
「何かにならなくたって、いいじゃない」
雨音を縫って、抑揚のない声が聞こえた。
「俺は」
―――ザァァァ
「アンタが笑ってたら、楽しいよ」




