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ライフ  作者: 道野ハル
オウド国
45/162

努力



--------

----



 幼いころから 平凡な人生など送りたくないと思っていた



 200年目が近付くにつれて その思いは強くなった



「リン、遊びに行こうぜ!」

「ダメだよ、あいつそうゆうの興味無いから」

「ホントつまんねえ奴だよな」



 なんとでも言え



 俺からしてみればお前らのほうがつまらない



 明確な目標も持たず 毎日をただ浪費するだけ



 そんな人生になんの意味がある



―――ブンッ、ブンッ、ブンッ



 俺は強くなる



 短い人生でも この生を全うするため己の限界に挑み続ける



 それが正しい生き方だ



 それが生きるということだ




----

--------




―――ガシャァァァンッ


―――バタバタバタッ



 階下が騒がしくなった。表に控えていたオウド軍が教会に侵入したのだろう。くだらない……。


「おい、聞いてんのか」


 くだらない状況をどうにかしようとしている、目の前の男もくだらない。


「お前がしたいなら、すればいい。だが俺はごめんだ。助ける気はない」

「……それは、お前がこいつらよりも、懸命に生きてきたと自負してるからか」

「そうだ」

「……」


 俺が答えると、男は数メートル距離をとり、真剣な面持ちで口を開いた。


「俺と勝負しろ」

「なに?」

「俺が勝ったら協力しろ」

「……」

「お前が築き上げてきたもん、見せてみろよ」

「……いいだろう」


 挑発したつもりなのだろう。すぐに後悔させてやる。




―――ザッ


―――ズガガガガガッ



 容赦なく鉄拳を浴びせる。男は一つ一つを掌で受け止めていた。


 小賢しい。



―――ビュッ



 男の顎を狙って足を蹴り上げる。



―――サッ



 避けられた。すぐさま別の角度から拳を繰り出す。


 しかし、またしても避けられる。すると今度は男が拳を繰り出してきた。



―――ビュッ、ビュビュッ



 速い。けれど隙はある。


 男の死角目掛けて、再び拳を突き出した。

 


―――ガゴッ



「!」

「……っ」


 自分の拳と男の拳が、互いの顔に命中した。



―――バッ



 一度距離をとる。


 ……カタス国を背負ってきただけのことはある、か。そういえば、武器を持たないと言っていた。素手で闘うことを得意としてるのだろう。だが、それがどうした。

 


―――バッ



 高く飛び、男の顔面目掛けて足を突き出す。



―――ガシッ



「!っ」

「なめんな」



―――ブンッ



 寸でのところで足首を掴まれ部屋の隅に投げられる。



―――ガシャァァァンッ



 自分が壁に当たった衝撃で、装飾品が床に落ちた。


 ……


 ……気に食わない。


 この男が、自分より強いことがあってはいけない。こいつが仲間と群れ、無駄な時間を過ごしている時に、俺は努力を重ねてきたのだ


 だから負けるはずがない


 負けていいわけがない



「くそが」



―――バッ……ダダダダッ



 立ち上がり、男の腹部めがけて走る。



―――ガシィッ



「!!」


 両肩を掴まれた。



―――ガシッ



 男の両腕を掴む。



―――ギリギリギリッ……


 

 渾身の力をこめて、その腕を握る。


「……くっ」


 男の顔が一瞬歪む。今だ。右足で男の腹部を蹴り上げようとした、その時



―――ガツーンッ!!



「……なっ……」


 目の前に星がとんだ、頭がくらくらする。


「っ悪いな、石頭で」

「く……そっ……」



―――グッ


―――ダァァァンッ



「かはっ……」


 そのまま両肩を強く押され、床に押し倒された。動こうとしても男の力は強く、身動きがとれない。


「はあっ、はあっ……」

「……」


 見下ろすな


 お前が俺を見下ろすな


「……お前は、今どうすることもできない」


 やめろ


「お前は負けた」


 やめてくれ


「でも……それがなんだってんだ」


 ……


「生きる意味なんてなくていい。無理やりつくる必要もねえ」



 気が付くと、俺は息を呑んでいた


 男の黒い瞳が揺れる



「自分がいて、誰かを感じて生きられれば、それでいいんだ」




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