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ライフ  作者: 道野ハル
帰路
161/162

この空を



―――……


―――シャーッ



 走ってる……風をきって走っている。どこを?そっと辺りを見回す――白い霧が晴れて、目の前に橙色の光が差し込んできた。




―――パッパァァァ


―――ブロロロッ


―――シャーッ……



「……」


 ここは……道路だ。私は道路の端を自転車で走っている。十数メートル行くと大きな交差点にぶつかり、そこを渡って右に曲がれば専門学校の時から通っているビル――バイト先がある。


「……あー……」


 帰って、来た。なんだか夢を見ているみたいだ。フワフワと知らない世界に迷い込んでしまったような……おかしいな、ずっと住んでた場所なのに。

  


―――パシャッ……

 


 ふと、タイヤが水をはねた。水たまりだ。よく見ると舗道も黒くなっている――そう思った途端、あのツンとしたような、じめっとしたような独特の匂いが鼻をついた。……ああ、アスファルトだ。

 


―――ブォォォォッ


―――ブーンッ



 右側を、帰宅ラッシュの車やバイクが騒がしく通り過ぎていく。いつも通りのことなのに今日は窮屈に感じる。……とりあえず、深呼吸しよう。息を吐き、新鮮な空気を取り入れるために私は顔を上げた。

 

「あ……」



―――……


―――……



 そこには、雨上がりのオレンジの空が広がっていた。


「……」


 綺麗、だ。



 雨上がりの空はとても綺麗だ


 私一人で見ているのは勿体ない


 誰かに、誰かに教えてあげたい




“なにそれどうなってんの?”


“いろんなヤツらが見てるんだね”




「……ラルフ、綺麗だよ」



 ねえ、ラルフ。空がこんなに綺麗だよ。




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