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ライフ  作者: 道野ハル
帰路
158/162

少年




 少年は、夜の草原を走り続けた。振り切るように、逃げるように、ひたすら北へ向かった。


「……」


 苦しくはない。痛くもない。体は一向に疲れない。この足で何処までも走っていける、そう思っていた。けれど……



―――……ザ


―――……



 立ち止まって振り返ると、そこには誰も居なかった。当然だ、その為に走ってきたのだから。そのために一人になったのだから。


「…………ぅっ、ぁっ、ああああああっ」


 ああ、知っていたのに。“大切”になれば穴があく。なんで同じことを繰り返すんだ。何度痛みを感じれば気が済むんだ。


「っ……」


 さあ、終わりにしよう。要らないものを捨て去ればもう振り回されることもない、体が震えることもない。



―――……


―――ザザッ



 少年は走り出した。人の手も想いも届かない、遠い場所を目指して。縋るように、願うように。


「……」


 そしてもう一度だけ、後ろを振り向いた。

 



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