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ライフ  作者: 道野ハル
帰路
156/162

見えないもの




―――……スッ


―――……



「うなされてたね」

『……』

「だいじょうぶ?」


 夢から醒めると、ラルフが横に座っていた。白い月あかりが照らすその姿は、今にも消えてしまいそうだ。


『……ラルフ』

「うん?」

『大丈夫?』

「なにが」

『……』

「ねなよ」

『……ラルフは、寝ないの?』

「ねるよ?」


 嘘だ……。そう言って、きっと朝が来るまで一人で起きてるんだ。草も木も人も眠るなか、暗い夜を一人で――


「早く寝ないと、また吐くよ?」

『……うん。……寝ても吐くと思うけど……』

「あははっ、そうだね」

『……』

「タナカ」

『……』

「おやすみ」

『…………おやすみ』



―――スッ……



 私は、目を閉じた。閉じるしかなかった。だってラルフが……まっすぐに目を見て“おやすみ”って言ったから。



“後悔してる?”


“ごめん”


“……ありがと”



―――……



 どうして今まで気付かなかったんだろう?


 いつも飄々としてる人が


 無邪気に笑う人が


 ずっと隣にいた人が


 消えてしまいたいくらいの 深い孤独を抱えていたことに



『……』

「……」



 ああ 今この目を開けて


 なにか出来ることがあればいいのに




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