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ライフ  作者: 道野ハル
オウド国III
129/162

はじまりの日



--------

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【1803】



「あの谷底に村がある。村の(あるじ)を殺し、金品を奪え」


 長から命令が下った。小さな村だから俺一人で行ってこいと言われた。短刀を腰に差し、青紫のローブをかぶって俺はそいつの家に向かった。




「……なに?」

「え」


 驚いた。そこにいたのは女だった。家の中には変な色の水が入った透明な器がたくさん並んでいた。


 女は剣を抜いた俺を見ると、目を細くして言った。


「最近ここらで人殺したり物盗んでる集団がいるって聞いたけど、あんたたちのこと?」

「……」



―――ダッ



 黙って床を蹴る。刀を振りかざし一気に間合いをつめた。



―――バシャッ



「!うっ……あっ、ああっ!!」


 女が持っていた器の液体を俺の顔にかけてきた。痛い。熱い。目が開けられない。


「斬りかかってきた罰だよ。ま、そのうち治るから」

「……っ」


 何も見えない。痛くて動くこともできない。



―――ガシッ



「!」


 強い力で肩を掴まれた。体が石みたいに硬くなる。……このまま殺されるのだろうか。


「頼みがあるんだけど」

「……?」


 思いがけない言葉が降ってきた。


「あんたたちの親玉に会わせてくれない?」

「え?」





―――……


―――……



「小僧、しくじったのか」

「……」

「あ、そうゆうのいいから。で、話聞いてもらえます?」


 言われるままに、長の所に女を連れてきてしまった。きっと後で酷い目に遭わされる。でも任務を失敗してしまったから、どっちみち変わらないか。


「長。私は貴方と契約したいんです」

「契約、だと?」



―――カチャ、カチャ



 女は持っていた鞄をあけると、中から小さな瓶をいくつか出した。


「こっちから、睡眠薬、しびれ薬、幻覚剤。どれも即効性がある。しびれ薬はさっきこいつにかけたから、どうだったか聞いてみればいい」

「……」

「私には薬品に関する膨大な知識がある。武器製造の技術も多少ある。そこらの医者や技術者には劣らないと思うよ」

「……大層な自信だな」

「あんたたちとは文明のレベルが違うからね」

「なに?」


 女が口元を上げる。


「私は異星人だから」

「「!!」」


 異星人……?


「私の星は、この星と違って200年毎に終わりなんて来ない。だから文明は速やかに進化する。まあ、だから滅んだんだけど」


 文明、進化、滅んだ?何を言ってるのかよく分からない。


「……お前の目的はなんだ」

「ふふっ」


 女は楽しそうに笑った。


「200年目が来る前に、この世界を終わらせること」





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